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» 2013年08月01日 11時00分 UPDATE

スマートファクトリ:環境配慮を目的に自社工場をスマート化、大和ハウス工業が茨城県の工場に25億円を投資

大和ハウス工業は顧客のオフィスや店舗、工場の環境負荷をゼロにする「Smart-Eco Project」を2011年から販売している。2013年8月には自社工場への2つ目の適用例となる竜ヶ崎工場の建て替えを発表、省エネ効果などをうたう。

[畑陽一郎,スマートジャパン]
yh20130801Daiwa_map_250px.jpg 図1 竜ヶ崎工場の位置

 大和ハウス工業が自社工場のスマート化に取り組む。2013年8月から同社の竜ヶ崎工場(茨城県)の4工区のうち、25億円を投じて第2工区を次世代環境配慮型工場「D's SMART FACTORY」に建て替え、2014年3月の操業開始を目指す(図1)。2013年2月の奈良工場に続いて2カ所目の建て替えとなる。いずれも同社の「Smart-Eco Project」の一環として実施する。

 「Smart-Eco Project」は顧客の建築物の環境負荷を2020年までにゼロにするためのサービス一体型の商品。運用時の二酸化炭素(CO2)の排出量をゼロにすることが目的であり、そのために4つ手法を用いる。自然の力を生かすパッシブコントロール、創エネ・省エネ・蓄エネを行うアクティブコントロール、生産設備のエネルギーを総合管理するスマートマネジメント、事業継続計画(BCP)の提案だ。

 2011年7月にまず環境配慮型オフィス「D's SMART OFFICE」を販売開始、2012年5月には次世代環境配慮型店舗「D's SMART STORE」を、2012年12月からは「D's SMART FACTROY」を発売した。今回の竜ヶ崎工場の取り組みは商品を自社工場に適用した形だ。

 大和ハウス工業は軽量鉄骨を採用した住宅製品を販売しており、竜ヶ崎工業は1都3県に向けて外壁や断熱材、窓サッシなどが一体化したパネルとパネルを固定する柱を製造している。現場では柱とパネルをボルト連結して住宅を組み上げていく。竜ヶ崎工場は1968年に製造を開始しており、防災性の強化と生産体制の強化が必要だったため、D's SMART FACTORYの候補となった。

日射と輻射熱を管理

 竜ヶ崎工場の敷地面積は23万5193.92m2。そのうち第2工区の延べ床面積は1万7348.5m2ある。住宅の部品を製造するいわゆる工場であり、1つ1つの区画が広い。そこで、パッシブコントロールとして日射を照明に使う他、屋根からの輻射熱の遮断を試みる。

 日射を利用できるようにするため、越屋根(図2)を使う。越屋根とは採光や換気、煙出しなどのために、本来の屋根の上に、棟をまたいで一段高く設けた小屋根をいう。越屋根に設けた窓に、直射日光を屈折させて工場内に取り込む日射調整フィルムを張り、照明エネルギーを88%以上削減する。日射調整フィルムには紫外線を除去する役目も持たせた。

yh20130801Daiwa_koshiyane_590px.jpg 図2 越屋根を工場内部から見たところ。出典:大和ハウス工業

 工場の屋根は一般に薄い。古い工場では雨が降ると、雨滴が屋根に当たる音がうるさいほどだ。このような屋根に直射日光が当たると、熱が直接工場内に入ってくる。これでは室温が上がる一方だ。竜ヶ崎工場では、屋根板を2重化し、その間にグラスウール製の断熱材を充填することで、輻射熱を抑え込む(図3)。従来の工場と比べて室温の上昇を2度抑える効果があるという。

yh20130801Daiwa_roof_590px.jpg 図3 2重折板屋根の構造。出典:大和ハウス工業

照明と空調にも工夫

 アクティブコントロールでは省エネに力を入れる。高効率反射板照明器具「reFbo Factory」(図4)を導入することで、従来の水銀灯を利用した高天井用照明と比較して消費電力を約88%削減できる。refbo FactoryはLED照明ではないが、既存の照明器具にドーム状の反射板を組み合わせることで省エネを実現できるという。

yh20130801Daiwa_lamp_200px.jpg 図4 reFbo Factory。出典:大和ハウス工業

 空調では自然換気に加えて、水の気化熱を利用した気化式冷却ファンを設置する。20〜30μmの微細な霧が気化する際に熱を奪うため、旧工場と比較して約5度温度が低下する。コンプレッサーの排熱がないことも特徴だ。

 アクティブコントロールのうち、創エネについては、Smart-Eco Projectの本来の形とは異なっている。工場の屋根上に出力800kWの太陽光発電システムを設置するが、工場内では発電した電力を利用せず、固定価格買取制度(FIT)を利用して全量売電するからだ(図5)。多結晶シリコン太陽電池モジュールを3290枚設置し、グループ企業の大和エネルギーに丸ごと賃貸する。大和エネルギーは発電事業者として売電を進める他、管理運営も担う。年間約80万kWhの発電量を予定し、年間売上高として約3200万円を見込む。

yh20130801Daiwa_PV_590px.jpg 図5 太陽電池モジュールを屋根に設置したイメージ。出典:大和ハウス工業

 Smart-Eco Projectがうたう3本目の柱が、生産設備のエネルギーを総合管理するスマートマネジメントだ。竜ヶ崎工場では2つの仕掛けを導入する。まずは見える化、見せる化(図6)だ。生産設備の消費エネルギーを測定し、FEMS(工場エネルギー管理システム)を通じて、工場全体の最適制御につなげる。

 もう1つが生産設備以外のエネルギー計測とデマンド制御だ。太陽光発電システムや後述する自家発電機のデマンド制御、気象条件の測定も行う。生産設備の最適化というよりも防災面での監視に役立つ取り組みだ。

yh20130801Daiwa_FEMS_590px.jpg 図6 工場見せる化システムの画面。九州工場の実例を示した。出典:大和ハウス工業

 4本目の柱がBCP対策だ。軽油で発電する出力160kWの自家発電機を設置する。非常用照明や事務所内の一部のPCに電力を供給することで、生産活動の復旧に役立てる。

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