ニュース
» 2013年08月05日 11時00分 UPDATE

蓄電・発電機器:サーバへの給電は380V直流へ、三菱電機がHVDCシステムを発売

データセンターの消費電力削減は待ったなしだ。空調の最適化が関心を集めているものの、肝心のサーバに電力を送る装置の改善も必要だ。三菱電機は380Vの直流出力が可能な給電装置を開発、2015年度には20億円の売り上げを見込む。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 データセンターは大量の電力を消費する。言葉を変えればデータセンターで電力の利用効率を改善すれば、見返りが大きいということだ。

 現在主流のデータセンターでは200Vの交流を外部から取り入れ、無停電電源装置(UPS)を通した後、電圧を下げてサーバに供給している(図1)。この方式の問題は途中で何度も直流と交流を変換していることだ。変換するごとに損失(熱損失)が発生するため、全体の効率が下がってしまう。

 なぜ変換するのか。それは電源装置がUPSを内蔵しており、UPSは電池であるために直流しか受け取れないためだ。UPSを回路から切り離した配置にすると効率は改善できるものの、いざ瞬電などが起こったときに、サーバに送る電力が途切れてしまい、UPSの意味がなくなる。従って、図のような直列の配置を採らざるを得ない。

yh20130805ME_ACDC_590px.jpg 図1 現在主流の給電方式(交流給電)。出典:三菱電機

 サーバ内部は直流で動作する。それなら、交流から直流への変換を1回にまとめればよいのではないかというのが直流給電の発想だ(図2)。さらに直流であっても電圧を高めると抵抗損失をある程度抑えることができるため、高電圧直流給電(HVDC:High Voltage Direct Current)が有利だ。

yh20130805ME_HVDC_590px.jpg 図2 高電圧直流給電の一例。出典:三菱電機

 三菱電機は200Vの交流を受け、380Vの直流を出力する高電圧直流給電システム「MELUPS DECO」を開発、2013年8月に発売した(図3)。特徴は3つある。まず、図2のように交流から直流への変換回数を1回に抑えたことで、入力側に200V交流をとる同社の従来製品と比較して、効率を9ポイント高め、97%に改善したことだ。

 MELUPS DECOは交流直流変換ユニット(100kW)を取り付けるモジュール部と、分電盤部からなる。図3の手前側が分電盤部だ。

yh20130805ME_MELUPSDECO_590px.jpg 図3 高電圧直流給電システム「MELUPS DECO」。出典:三菱電機

 第2にサーバ側の負荷に応じて、効率を高いまま維持する仕組み「ダイヤモンド・エコ・ドライブ」を組み込んだことだ。一般に電源装置は出力側に掛かる負荷が100%に近いときに効率が高くなる。逆に言えばサーバがあまり動いていないときは効率が低下してしまう。そこで、電源内部の給電側を複数のブロック(モジュール部)に分けた。負荷の状態を監視し、負荷が低下したときは幾つかの給電ブロックをスタンバイ状態に落とす(図4)。

 図4上ではMELUPS DECOにモジュール部を6個組み込んだ例を示している。1個は冗長性を持たせるためのモジュールなので、電源としては500kWとなる。サーバの消費電力が50kW(負荷率10%)と低いとき、6個全てが動作していると、効率は90%に低下するが、2個に抑えると94.5%に向上する。図4下では負荷率に応じた効率の変化を示した。負荷率が50%を下回ると効率に差が現れてくることが分かる。

 第3の特徴は分電盤にある。他系統への電源供給を維持しながら、モジュール部の追加や交換が可能な構造を採った。加えて、分岐系統ごとに電流や電力量を計測する装置を搭載できる。

yh20130805ME_DiamondEcoDrive_470px.jpg 図4 ダイヤモンド・エコ・ドライブの効果。出典:三菱電機

 直流給電タイプの給電システムには課題がある。直流給電に対応しているサーバの比率がまだ低いのだ。さらに、200V入力の電源を導入済みのデータセンターへの置き換え需要も望みにくい。380Vの直流を受け取ることができる装置がほとんどないからだ。「現在のサーバは48V入力や12V入力のものがほとんどだ。しかし、今後は380V対応のサーバ*1)が増えてくると考えている。具体的には2015年度時点で、5〜10件の受注を見込んでおり、販売金額は約20億円だと見積もっている」(三菱電機)。

*1) 例えばNECは380VのHVDCに対応したブレードサーバを2011年12月に製品化している。

 なお、三菱電機は2009年8月から2013年3月の期間、NTTファシリティーズ、長崎大学と共同で新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンネットワーク・システム技術研究開発プロジェクト(グリーンITプロジェクト)/エネルギー利用最適化データセンタ基盤技術の研究開発/データセンタの電源システムと最適直流化技術の開発」の委託研究を受けている。MELUPS DECOはその開発成果を基に製品化したものだ。

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.