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» 2013年08月14日 13時00分 UPDATE

発電の仕組み(3):なぜなぜ地熱発電・火力発電、お湯は使わない

現在の日本の電力を支えているのは水蒸気を利用して発電する「火力発電」だ。「地熱発電」も似た仕組みである。そこで短期連載第3回は火力発電と地熱発電を紹介する。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

短期連載「発電の仕組み」

  • なぜなぜ太陽光発電、電力が生まれる理由 (第1回
  • なぜなぜ風力発電、生まれ変わる古代の技術(第2回
  • なぜなぜ燃料電池、実は「電池」ではないのでは? (第4回
  • なぜなぜ海洋温度差発電、なぜ静止した海水で発電できるのか (第5回


 「火力発電」と「地熱発電」はいずれも高温の水蒸気を利用して巨大なタービンを直接回転させ、発電機を回して電力を得ている。まずは比較的単純な地熱発電から説明する。

 地熱発電が単純だというのは、何かを燃やして水蒸気を得るのではなく、天然に存在する水蒸気を利用して発電するという意味だ。発電所に必要な機器が単純だという意味ではない。地熱発電は機器の性能を高めたとしても立地が悪ければ使い物にならないという難しさがある。

yh20130814Serial_iceland_590px.jpg 図1 アイスランドのネシャベトリル(Nesjavellir)地熱発電所。三菱重工の出力30MWのタービンを4つ採用している。

 地熱発電に必要なのは発電に適する高温の水蒸気が大量に連続して長期間得られる立地だ(図1)。このため、単なる火山やマグマは地熱発電に向いていない。岩のすき間に高温の水蒸気が大量にたまったような構造「地熱貯留層」を見つける必要がある。

 地熱貯留層にある水蒸気は雨水に起源がある。地下でマグマだまりなどによって高温になった水蒸気が移動し、不透水層の下にたまった形だ。ちょうど石油が不透水層の下にたまって油田を形成することと似ている。

 地熱発電に利用できる水蒸気の温度は200度以上*1)。地熱貯留層から得た水蒸気には熱水が混ざっていることが多い。熱水が混ざっていると、高速回転するタービンのブレード(羽根)が破損するため、通常は気水分離器で乾燥蒸気だけを取り出している。なお、気水分離器は熱水の混入率が高いニュージーランドで開発されたものだ。

*1) 200度以下の水蒸気はバイナリー発電で利用可能だ。

 なお、1904年にイタリアで試験運転に成功した世界初の地熱発電所は水蒸気だけが噴出する立地だったため、気水分離装置は不要だったという。

 気水分離器を通った水蒸気が次に通過するのがスケールセパレータだ。水に溶け込んでいた二酸化ケイ素(SiO2)や炭酸カルシウム(CaCO3)などの微粒子を除去する。この装置がないと、タービンなどにスケール(水あか)が付着して効率が落ちてしまうからだ。

 地熱発電のうち、最も単純なのはタービンを通過した水蒸気をそのまま大気中に放出する背圧式だ。背圧式の性能を2倍に高める技術がある。復水式だ。タービンを通過した水蒸気を復水器に通じて、周囲の冷却水を使って熱を奪う。すると水蒸気が水に変わり圧力が下がる。タービンは入ってくる気体と出て行く気体の圧力差で動作している。復水式では圧力差が背圧式の2倍に高まる。これが性能を2倍にする秘密だ。

 この他、気水分離器で除去した熱水を利用するダブルフラッシュ発電や、冒頭で利用が難しいとした高温の岩石に水を注入して発電する高温岩体発電など、さまざまなバリエーションが開発されている。

火力発電の主力はLNG火力

 日本の電源構成は火力が主体だ。2012年度は火力が88.3%を占めた。火力をさらに分けると、LNG火力(42.5%)、石炭火力(27.6%)、石油火力(18.3%)となる。

 火力発電を大きく3つに分けると、汽力発電とガスタービン発電、内燃力発電に分かれる。汽力発電ではボイラー中で燃料を空気と混合して燃やし、ボイラーの近くを通過する水に熱を与えて蒸気を作る。その蒸気で蒸気タービンを回す。蒸気タービンが排出する水蒸気は復水器で水に戻り、再びボイラーに向かう。地熱発電と似た仕組みだ。おもに石油火力、石炭火力で採用されている。

 LNG火力で利用されているガスタービン発電は違う。ガスタービン発電の仕組みは汽力発電よりも複雑だ。ガスタービン発電では空気と燃料が別々の経路をたどる。空気はガスタービンと連動して動く空気圧縮機を通過する。次に、燃焼器で燃料と混合して、高温高圧の燃焼ガスが生じる。このガスがタービン内で膨張することにより、タービンが回転する。つまり水蒸気は無関係だ。

 ガスタービンの前段で圧縮される空気は13〜16気圧に達し、ガス燃焼温度は1300〜1500度と高温だ。高圧の空気と高温の燃焼ガスが得られるほど出力が増加して効率も上がる。しかし、タービンの材料が耐えられなくなるため、1700度が限界だとされている。

 内燃力発電は自動車のエンジンと同様、シリンダ内で燃料と空気を混合して、爆発力を得るというものだ。大出力は得られないが、効率は高く、40%に達するものもある。主に離島などの火力発電として利用されている。

コンバインド=組み合わせ

 火力発電は3つに大別できるものの、これらを組み合わせた高効率な発電方式もある。

 ガスタービンが排出する燃焼後のガスは燃焼温度が1000度を超えているため十分に高温だ。そこで、この熱を排熱回収ボイラーに通じ、汽力発電に使うという方式が多用されている。これがガスタービンコンバインドサイクル発電だ。2段階で電力を生むため、コンバインド(combined、組み合わせ)という名前が付いている。

 石炭火力は当初全て汽力発電だったが、現在では石炭ガス化複合発電も利用されるようになってきた。この方式では固体の石炭をそのまま燃やすのではなく、まずガス化炉で、二酸化炭素(CO2)や一酸化炭素(CO)、水素(H2)に変える。その後、このガスでガスタービンを回す。ガスタービンの排熱を利用するのはさきほどのガスタービンコンバインドサイクル発電と同じだ。

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