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» 2013年09月20日 11時00分 UPDATE

電力供給サービス:古い水力発電所を大規模に改修、84年前の設備を一新して5.4MW増強

日本には昭和初期から運転を続けている水力発電所が数多くある。水流を生かしたシンプルな構造の発電設備は長い年月の稼働に耐えられるが、最新の設備に交換すると出力が大幅にアップする。再生可能エネルギーのひとつとして、大規模な水力発電所の設備更新が相次いで始まった。

[石田雅也,スマートジャパン]

 東北電力は新潟県内で運営する「豊実(ともみ)発電所」の大規模な改修工事を完了して、9月18日に営業運転を再開した(図1)。昭和4年(1929年)から運転を続けてきたダム式の発電所だが、老朽化した設備を一新するために2008年から改修工事を進めていた。

toyomi_sj.jpg 図1 「豊実発電所」の全景。出典:東北電力

 これまで6台で稼働していた発電機を高効率の最新型2台に置き換えて、それでも全体の最大出力は5万6400kWから6万1800kWへ大幅に増えた。増加分だけで5.4MW(メガワット)あり、メガソーラーを大きく上回る発電能力になる。

 水力発電の標準的な設備利用率60%で計算すると、年間の発電量は約2800万kWhも増える見込みだ。一般家庭で8000世帯分の使用量に相当する。既存の発電設備を更新するだけで、CO2を排出しないクリーンな電力を大量に供給することができる。

 豊実発電所に導入した新しい発電機は「立軸バルブ水車」と呼ぶ構造である(図2)。船と同様にプロペラを回転させる方式だ。水力発電で一般的なフランシス水車と比べて、水の流量が多い場合に発電効率が高くなる。東北電力は2002年に福島県にある「第二上野尻(かみのじり)発電所」(1万3500kW)で、立軸バルブ水車を世界で初めて大規模な水力発電設備に導入した実績がある。

toyomi2_sj.jpg 図2 水車と発電機の構造。出典:東北電力

 東北電力が運営する水力発電所の中で、出力が3万kWを超える大規模な設備は豊実発電所を含めて20カ所にのぼる。このうち15カ所は運転開始から50年以上を経過している。豊実発電所は2番目に古く、最も古いのは同じ新潟県内で昭和3年に稼働した「鹿瀬(かのせ)発電所」(4万9500kW)である。この鹿瀬発電所も同様の改修工事を実施中で、2017年3月に営業運転を開始する予定だ。

 他の電力会社でも大規模な水力発電所で古い設備は数多くある。すでに北陸電力が設備更新に積極的に取り組んでいる。国全体の再生可能エネルギーを拡大するうえで、水力発電所の設備更新が有効な施策のひとつになってきた。

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