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» 2013年09月24日 13時00分 UPDATE

法制度・規制:電力小売の自由化に向けて制度設計が始まる、送配電は事業者を3区分

小売全面自由化と発送電分離を柱とする電力市場の改革案が具体的に見えてきた。現在の電力会社を中心にした垂直統合型の構造から、新たに発電・送配電・小売の3分野に事業者を区分する方向だ。送配電の分野は事業規模に応じて第1種から第3種に分ける案が出ている。

[石田雅也,スマートジャパン]

 経済産業省が主宰する「電力システム改革小委員会」で新制度の検討を進めている。電力会社による市場の独占体制を抜本的に改革するために、政府は2016年から2020年にかけて小売の全面自由化と発電・送配電の分離を実現させる計画だ。それに伴って電気事業者の区分も刷新する。

発電は届出制、小売は登録制で事業者を拡大

 現在のところ、2016年に実施する予定の小売全面自由化のタイミングに合わせて、「発電事業者」「送配電事業者」「小売電気事業者」の3区分に再編する案が有力である(図1)。従来の区分では電力会社だけが該当する「一般電気事業者」に幅広い権限を与えているが、新制度では他の事業者にも分野ごとに同等の権限を与える。

jiyuuka1_meti_sj.jpg 図1 電気事業者の区分変更案(画像をクリックすると拡大)。出典:経済産業省

 さらに事業者に対する規制や義務も見直す。発電事業者は最も簡単な届出制に、送配電事業者は条件の厳しい許可制に、小売電気事業者は登録制(申請拒否あり)にして、特に発電と小売の事業者を拡大する狙いだ。このうち送配電事業者は事業規模によって第1種〜第3種の3段階に分ける案が検討されている。

 第1種の事業者は現在の電力会社の送配電部門を想定している(図2)。離島を含めて地域全体に同等のサービスを提供することが義務づけられる。第2種は電源開発(J-POWER)など大規模な発電事業者の送電部門が該当し、他の事業者からの電力を利用者に供給する「振替供給」を義務づける。ただし振替供給の場合は電力会社のように利用者側の需要の変動に合わせて供給量を調整する必要はない。

 事業規模が最も小さい第3種は新規事業者が多くなる見込みだ。特定の地域に限定して自営の送配電設備を使ってサービスを提供するケースである。第3種だけは送配電事業者の中でも義務が少なく、届出制か登録制になる可能性が大きい。

jiyuuka2_meti_sj.jpg 図2 新制度における事業者の区分とイメージ(画像をクリックすると拡大)。出典:経済産業省

 このところ社数が増えている「新電力」(正式には「特定規模電気事業者」)は小売電気事業者として登録するほか、自営の設備があれば第3種の送配電事業者や発電事業者としても届け出あるいは登録することになる。

自由競争で安い電力を供給可能に

 新制度に移行すると、電力市場の構造は大きく変わる。特に重要な点は発電と送配電が分離・独立することである。これにより小売電気事業者は最も条件の良い発電事業者から電力を調達して、送配電事業者を経由して顧客(需要家)に電力を販売できるようになる(図3)。その結果、安い電力を供給しやすくなり、事業者間の競争が生まれる。

jiyuuka3_meti_sj.jpg 図3 発電・送配電・小売電気事業者で形成する電力市場の構造。出典:経済産業省

 ただし日本全国の家庭が対象になる小売の全面自由化にあたっては、2〜4年程度の経過措置を設けて、適正な競争状態になるまでは従来と同様に電力会社の料金を規制する方針だ。その場合でも自由料金制の併用を認めるなど、競争を加速させるための施策を実施する。

 政府は小売全面自由化を盛り込んだ電気事業法の改正案を2014年の通常国会に提出する予定で、それまでに具体案を固める必要がある。電力市場を改革するための電気事業法の改正は3段階に分けて実施することになっている。

 第1段階は全国レベルの需給を調整する「広域系統運用機関」の設立で、この10月に開く臨時国会で成立する見通しだ。第2段階の「小売全面自由化」は2014年、第3段階の「発送電分離」は2015年の通常国家に改正案を提出して成立を目指す。これからの2年間が改革に向けた大きな節目になる。

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