東芝が風力発電事業に参入、九州の2カ所から開始して7カ所まで拡大電力供給サービス

東芝が風力発電事業へ参入する。2012年に風力発電機事業へ参入しており、今回の事業拡張で風力発電の上流から下流まで全てをおさえる形だ。当初は九州の2カ所の既存の発電所の運営を引き継ぎ、7カ所への拡大を視野に入れる。

» 2013年09月26日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 東芝は2013年9月、風力発電事業に参入すると発表した。風力発電事業を進めてきたジャネックスから分割された企業であるシグマパワージャネックスに100%出資し、2013年11月までに買収を完了させる。

 シグマパワージャネックスは、ジャネックスの保有する鹿児島県と長崎県の発電所の運営を継承する。東芝は子会社を通じて風力発電事業に参入する形だ。

 東芝は2012年5月に韓国の風力発電機器メーカーであるユニスン(Unison)へ約62億円を出資して資本参加(当時の出資比率は34%で筆頭株主)している。ユニスンはギアを使わず永久磁石同期型発電機を用いたダイレクトドライブ方式の発電機技術をもっており、年間1GWの製造能力がある。

 シグマパワージャネックスによる風力発電事業によって今後獲得できる開発、運営ノウハウを風車設備事業にフィードバックすることで、上流から下流まで風力発電に関する全領域でビジネスを進める形だ。

 東芝は再生可能エネルギー事業の体制強化、拡大を目指している。風力発電は環境アセスメントが義務付けられており、立地上の課題があるものの、固定価格買取制度(FIT)によって事業性の向上が期待できる。これが今回の動きにつながった。

当初は2カ所、順次7カ所に拡大する

図1 運営を引き継ぐ風力発電所の位置

 シグマパワージャネックスが運営中の風力発電所は2カ所あり、いずれも九州の島部に位置する(図1)。風車を1基備えた「長島黒ノ瀬戸風力発電所」(鹿児島県長島町、出力1.98MW)と、風車を8基備えた「新上五島ホエールズウィンドシステム」(長崎県新上五島町、合計出力16MW)だ。さらに長島町には「新長島(発電所)」の建設を準備しており、2014年度に運転を開始する予定だ。

 その後も拡張路線が続く。現在、東北、中国、四国などで4カ所の風力発電所を計画している。

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