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» 2013年10月16日 11時00分 UPDATE

世界に先駆ける洋上プロジェクト(3):超大型風車2基を2014年に建設、世界に先駆けて実用化 (1/2)

2014年度から始まる第2期では、高さが200メートルにも達する超大型の風車を海に浮かべる予定だ。構造の違う2種類の浮体式設備を建設して、実用化に向けた検証作業を実施する。第1期の設備と組み合わせた大規模な洋上風力発電所は、世界をリードする日本の電力技術を実証する場になる。

[石田雅也,スマートジャパン]

第2回:「水中と海底に送電ケーブル」

 まもなく運転が始まる第1期の発電設備に続いて、2014年度には第2期の建設工事が始まる。風車の大きさは2倍になり、発電能力は7MW(メガワット)に増強する予定だ(図1)。陸上の風力発電を含めても国内で最大級、洋上では世界でも有数の規模で、陸地から離れた浮体式としては初めての試みである。しかも一挙に2基を建設する。

fukushima0_sj.jpg 図1 実証プロジェクトのスケジュールと設備。出典:福島洋上風力コンソーシアム

油圧ドライブを採用して性能と耐久性を向上

 2種類の超大型風車は担当するメーカーが異なり、基礎部分の構造が大きく違う。1つは三菱重工業が担当する「V字型セミサブ」と呼ぶ構造で、第1期の発電設備「ふくしま未来」と似た形になる。もう1種類は造船メーカーのジャパンマリンユナイテッドによる「アドバンストスパー」で、こちらは変電設備の「ふくしま絆」と同様の円柱構造をとる。

 ただし基礎部分の上に乗る風車や発電機の仕様は2つとも同じである。最大の特徴は、風力発電では先進的な油圧ドライブ方式を採用する点にある。超大型風車が生み出す大きな動力を効率よく発電機に伝えるための工夫だ(図2)。

fukushima25_sj.jpg 図2 油圧ドライブによる風車と発電機(三菱重工業が開発)。出典:新エネルギー・産業技術総合開発機構

 通常の風力発電では歯車を回転させて動力を伝える方法が一般的だが、歯車の代わりに油圧を使うと無理なく高速で回転させることができ、発電機の性能と耐久性が向上する。風力では最大級の7MWの発電能力を実現するのと同時に、保守作業に手間とコストがかかる浮体式の設備の故障を軽減できるメリットがある。

発電設備の高さは50階建てのビルに匹敵

 第2期で設置する超大型の風車は羽根の部分(ローター)の直径が167メートルもあり、第1期の風車の2倍以上の長さになる(図3)。そのために風車の回転軸(ハブ)の位置は海面から105メートルの高さに設定する必要がある。海面から下の部分を加えると、全体の高さは200メートルを超えて、ほぼ50階建ての超高層ビルに相当する。

fukushima11_sj.jpg 図3 超大型風力発電設備2基の概要。出典:福島洋上風力コンソーシアム

 これほど巨大な建造物を海に浮かべるためには、波や潮の影響による揺れを適度な範囲に抑えなくてはならない。その点で重要なのが基礎部分の構造で、2種類のうち三菱重工業が建設するV字型セミサブに特徴がある(図4)。第1期を含めて合計4種類の浮体式設備の中で、ひとつだけ非対称の形になっている。

fukushima12_sj.jpg 図4 「(仮称)三菱重工業風力発電所」の構造。出典:福島洋上風力コンソーシアム

 風車を支える垂直方向のタワーの最下部から、水平方向に2本の柱が90度の角度でL字型に伸びている。非対称の設備を3点でバランスさせる必要があり、対称型の設備とは違う揺れ方になる。

 実際に福島沖の洋上に浮かべてみて、波や潮の影響をどう吸収できるのか。発電量に違いは出るのか。もう一方の対称型の発電設備と比較した結果は興味深く、今後の浮体式による洋上風力の動向を左右する指針になる。

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