海水でも小水力発電が可能に、さびずに低い落差にも対応自然エネルギー

農業用水路などの淡水で使うことが前提だった小水力発電装置だが、海水でも利用できる製品が2014年に発売される。新たに繊維強化プラスチックを利用することで、さびずに軽量になるほか、配色や形状の自由度も高まる。低い落差でも発電が可能なため、設置場所が格段に広がりそうだ。

» 2013年11月08日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 「垂直二軸水車」による発電方式(装置を上から見た状態)。出典:シーベルインターナショナル

 再生可能エネルギー分野の技術開発を専門にするシーベルインターナショナルが、機械商社の岡谷鋼機、砕石プラントメーカーの中山鉄工所と共同で開発した。シーベルが特許を保有する「垂直二軸水車」による小水力発電装置がベースになっている。

 垂直に回転軸を持つ2つの円筒形の水車を回して発電する方式で、1メートル以下の落差の水流でも発電できる点が特徴だ(図1)。最大で44kWの発電能力があり、最近では神奈川県や栃木県の農業用水路に導入された実績がある。

 新たに開発した繊維強化プラスチック(FRP)製の小水力発電装置は、従来のステンレス製と比べて50%以上も軽くなるほか、取り外しが可能な部品構造を採用してメンテナンスを容易にした(図2)。FRPを使うと配色や形状を自由に変えることができるため、設置場所に合わせたデザインを取り入れて周囲の景観を損ねないようにすることも可能だ。

図2 繊維強化プラスチック製の小水力発電装置。出典:岡谷鋼機

 FRPはプラスチックにガラス繊維などを加えて強度を高めた新素材である。海水でもさびることがなく、小水力発電の導入場所を広げる期待がある。例えば工場などで海水を利用した設備があれば、その排水路に発電装置を設置することが可能になる。

 3社は淡水と海水の両方で実証実験を繰り返した後、2014年内に製品を発売する計画だ。発売に先立って2013年11月13日〜16日に名古屋市で開催される「メッセナゴヤ2013」の岡谷鋼機のブースに参考出品する。

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