550MWのメガソーラーを手掛ける企業が国内に、100億円規模の投資も自然エネルギー(1/2 ページ)

太陽電池関連の米First Solarが日本市場に参入する。対象はメガソーラーと住宅の屋根だ。住宅の屋根ではJX日鉱日石エネルギーと提携し、太陽電池モジュールを独占供給する。First SolarはCdTe薄膜太陽電池で知られているが、日本市場にはまずシリコン太陽電池を投入する。

» 2013年11月19日 13時50分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 「太陽電池モジュールを販売するだけでなく、設計・調達・建設(EPC)や管理・運営(O&M)、さらに資金提供など太陽光発電に関するあらゆる分野について日本市場で取り組む。当社は太陽電池事業を垂直統合しており、その強みを生かす」(米First SolarでChief Commercial Officerを務めるJoseph Kishkill氏)。2013年11月に日本国内で初めて開かれた記者会見では、単に日本向けに太陽電池モジュールを販売するだけではないことを明らかにした(図1)。

図1 米First SolarでChief Commercial Officerを務めるJoseph Kishkill氏

 First Solarは独自のCdTe(テルル化カドミウム)薄膜太陽電池の開発で知られる。Si(シリコン)系よりも安価であり、米国市場や欧州市場に向けた出荷量が多い。米IHS iSuppliによれば、同社の2012年の太陽電池モジュールの生産量は1800MW。中国インリーソーラーに次ぐ2位だ。同社は太陽電池の製造だけに特化しているのではない。米IMS Researchによれば、インテグレーターやEPCとしての市場ランキングは世界第1位だ。First Solarによれば全世界で既に8000MWの設置を終え、3000MWを設置中だという。

 「当社が米カリフォルニア州に建設中のDesert Sunlight太陽光発電所は2015年の完成を予定し、交流出力は550MW。これは世界最大のメガソーラーだ」(同氏、図2)。インドのラジャスタン州のPhalodi太陽光発電所(50MW)では石炭100万トンを代替することを目指し、アラブ首長国連邦では1GWのプロジェクトのうち、13MWをまず完成させるなど世界各地でインテグレーターやEPCとして活動している実例を挙げた。

図2 米国に建設中のDesert Sunlight太陽光発電所。出力は550MWにも及ぶ。出典:First Solar

 規模が大きいだけでなく、発電コストの低減にも務めている。例えば、米国南西部に建設したメガソーラーでは電力会社に対して、1kWh当たり5.79セント*1)で電力を販売する契約を結んでいる(関連記事)。

*1) 直接の比較対象とはならないものの、このコストは日本国内の石油火力やガス火力を下回っている。東京電力が2012年7月に公表した2012〜2014年の平均単価(燃料費)は石油系(15.95円)、ガス系(10.67円)、石炭系(4.39円)だ。

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