風力発電機は2年後に5〜7MW級へ、超大型化で洋上風力を後押し蓄電・発電機器

太陽光に次ぐ有望な再生可能エネルギーとして期待が高まる風力発電の分野で、風車の大型化による発電機の能力向上が進んできた。三菱重工業が福島沖の洋上風力発電所に採用する7MW級に続いて、日立製作所が5MW級の製品を2015年度に発売することを決めた。

» 2013年11月27日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 日立製作所は新たに超大型の洋上風力発電システムを開発中で、2015年度に販売を開始する予定だ。発売を前に茨城県の神栖(かみす)市の沿岸に5MW(メガワット)の実証機を建設して、2014年度の上期に稼働させる。

図1 5MW洋上風力発電システムのイメージ。出典:日立製作所

 実証機は風車の直径が126メートルにもなる超大型の風力発電設備である。1基で最大5MWの電力を供給することができる(図1)。これまで国内の風力発電所では1基あたり2〜3MWの発電設備が最大で、その約2倍の能力を発揮する。

 特徴は新開発の永久磁石同期方式による発電機と中速の増速機を組み合わせて、超大型にもかかわらずシステム全体を軽量化した点にある。特に洋上風力の場合には大規模な発電設備を支える基礎部分や浮体部分の建設にコストがかかるため、軽量化によって建設費の削減と安全性の向上を図る狙いだ。

図2 油圧ドライブを採用した風力発電システムの試験機。出典:三菱重工業

 洋上風力用の超大型発電システムとしては、三菱重工業が2014年度に福島沖に設置する予定の7MW級がある(図2)。この発電システムは風車の直径が167メートルに達する巨大な設備で、風車の回転を油圧ドライブで円滑に発電機に伝えることができる。現在は三菱重工業の横浜製作所の構内で小型のシステムを使って試験運転を続けていて、2014年の秋に7MW級の超大型システムを福島沖で稼働させる計画である。

 風力発電システムの能力増強は建設コストの低減につながり、特に設置スペースを広くとれる洋上では導入メリットが大きい。これから検討に入るプロジェクトにおいては、1基あたり5〜7MWの発電設備を前提に設計することが可能になる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.