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» 2013年12月11日 09時00分 UPDATE

自然エネルギー:木質バイオマスの半分を吸収、兵庫県の官民連携でチップ加工から発電まで

兵庫県朝来(あさご)市に建設を予定するチップ製造工場とバイオマス発電所の組み合わせは全国にも例がない事業だ。材料の調達から加工、発電までを一体として事業化しており、燃料の長期安定供給を重視している。発電出力は5MW、年間約3700万kWhの電力量を供給可能だ。

[畑陽一郎,スマートジャパン]
yh20131211Asago_map_250px.jpg 図1 兵庫県朝来市と発電所の位置

 「兵庫県には間伐材などの未利用木材が資源として約10万トンあると試算されている。このうち5割を利用する木質バイオマス発電所が立ち上がる」(兵庫県農政環境部農林水産局林務課)。

 兵庫県の取り組みは、林業の育成が目的だ。植栽、保育、伐採、利用という林業のサイクルをうまく回したい。そのために木質バイオマス発電を「利用」する。

 林地残材として利用が進んでいない未利用木材を木質バイオマス資源として活用することができれば、林業が育っていく。バイオマス発電を実現するために、資源の搬出から乾燥、チップ形状への加工、発電という一貫した取り組みを官民協働で進めようとするものだ。このような取り組みは全国にも例がなく、兵庫モデルと呼ぶ。バイオマス発電は、一般に燃料の安定調達が難しい。発電側から見ると、資源調達を長期安定化させる取り組みだといえる。

5者が協働で取り組む

 2013年12月には、兵庫県と兵庫県朝来(あさご)市(図1)、兵庫県森林組合連合会(県森連)、兵庫みどり公社、関西電力が未利用木材を活用したバイオマス事業について計画の検討に合意した。事業の枠組みは図2の通りだ。

yh20131211Asago_flamework.gif 図2 発電事業に関する各団体の役割。出典:関西電力

 バイオマス燃料の原料は、県森連とみどり公社、兵庫県内の個別の森林組合などが収集する。間伐などのために伐採されて、森林内に放置されている丸太などが対象だ。一部の材料は森林組合のチップ工場で10mm以下のチップに加工される。それ以外の材料は、朝来市に建設する燃料チップ製造工場で燃料チップに加工する。

 燃料チップ製造工場(敷地面積約2.5ha)は県森連などが建設・運営し、年間約5.4万トンの燃料チップを生産する。

 燃料チップ工場が製造した燃料は全量、新設するバイオマス発電所(敷地面積約1.0ha)が引き受ける。バイオマス発電所は関西電力のグループ会社が建設・運営することを検討しており、発電した電力は固定価格買取制度(FIT)を利用して1kWh当たり32円で関西電力に売電する計画だ。発電所の出力は約5000kW、年間約3700万kWhの売電を予定する。年間約12億円の売り上げが立つ計算だ。

木材資源と水が立地に重要

 燃料チップ製造工場とバイオマス発電所は、朝来市生野町真弓に立地する生野工業団地内に隣り合わせて建設する。燃料の輸送コストがほとんど必要ない形だ。どちらも2016年3月に運転を開始する予定。

 「燃料チップ工場とバイオマス発電所の適地は県森連、関西電力が検討を重ねてきた。朝来市に決まった理由は2つある。木材資源の集積地に近いことと、発電用の水が確保できることだ。兵庫県内では西部や北部に森林資源が充実している。生野工業団地では必要な水量、1000トン/日が確保できる。工業団地内に空き地も見つかった」(県の林務課)。

 今回のバイオマス発電所が動き出すと、兵庫県内の林業にはどのような影響があるのだろうか。「朝来市のバイオマス発電所の出力は、日本海水が兵庫県赤穂市に建設中のバイオマス発電所(1万6530kW)に次いで大きい。ただし、日本海水の発電所は未利用材の他に建築廃材やヤシガラを利用しており、未利用材の活用という点で、朝来市の発電所の意味が大きい。朝来市の事業が動き始めると、林業の実施面積が増え、より未利用材が増えてくると予測している」(県の林務課)。

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