太陽電池の変換効率競争、ファーストソーラーが20.4%自然エネルギー

低コストを武器に非シリコン系太陽電池の主力としての地位を固めたCdTe(カドミウムテルル)太陽電池。2014年2月にはセル変換効率が多結晶シリコン太陽電池と並んだ。20.4%である。

» 2014年02月28日 09時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 米First Solar(ファーストソーラー)は、2014年2月、薄膜太陽電池の一種、CdTe(カドミウムテルル、カドテル)太陽電池セルの変換効率の世界記録を更新したと発表した。変換効率の記録は20.4%*1)

 少量の材料で製造でき、製造時に必要なエネルギーが少なく(関連記事)、製造コストが低いことを特徴とするCdTe太陽電池。これまでは変換効率で多結晶シリコン太陽電池に後れを取っていた。だが、多結晶シリコン太陽電池セルの変換効率の記録は、2013年12月現在20.4%。今回、少なくともセル変換効率では追い付いた形だ。

 今回の成果はFirst Solarと米GEの技術協力によって得られたものであり、First SolarのPerrysburg工場(オハイオ州)で製造された太陽電池セルによるものだ。

 CdTe太陽電池は研究開発の歴史が長い。例えば1970年代には当時の松下電器産業(現在のパナソニック)が変換効率の最高記録を持っていたこともある。変換効率の急速な向上が始まったのは、2010年以降であり、GEとFirst Solarが抜きつ抜かれつの競争を繰り広げてきた。例えば2011年7月時点の記録はFirst Solarによる17.3%、2013年の記録はGEによる19.6%だった。

 2013年4月にはFirst SolarとGEが太陽電池技術に関する協力契約を締結、First SolarがGEの持つCdTeに関する知的財産を得、GEの研究開発チームとの共同研究に入った。

 First Solarによれば、今回のセルを開発する際に利用した技術は今後量産する太陽電池モジュールにも適用可能なものだという。同社はモジュールの変換効率も順調に向上させてきた。2012年第4四半期に12.9%だった変換効率を2013年第4四半期には13.4%まで高めた。1年間で0.6ポイントの向上である。さらに2013年末には13.9%に達している。

*1) 太陽電池に関する公的な認証を受けた測定機関である米NewportのTechnology and Applications Center(TAC)PV Labと米NREL(国立再生可能エネルギー研究所)によって認められたセル変換効率。

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