地図から分かる自宅の適性、260万棟が「東京ソーラー屋根台帳」で自然エネルギー(1/2 ページ)

自宅の屋根に太陽電池を設置すると、どの程度の電力が得られるのだろうか。このような問いに答えるサービスが登場した。東京都が2014年3月に公開した「東京ソーラー屋根台帳」だ。地図から自宅を選び出し、クリックするだけで概要が分かる。

» 2014年03月27日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 自宅の屋根は太陽電池の設置に向いているのだろうか。どの程度の発電量が期待できるのだろうか。販売事業者に相談する前に、まずはおおよその見積もりを知りたいというニーズがあるだろう。「東京ソーラー屋根台帳(ポテンシャルマップ)」は、このような要望に応える無償サービスだ。Webブラウザでアクセスして使う。

 東京都環境局が東京都環境公社と連携して開発し、2014年3月26日に公開したもの*1)。このようなサービスは、ドイツ(ボン市)などに事例があるものの、国内向けでは今回が初だという。他の自治体にも広がることを期待したい。

*1) 東京都は建物の屋根を使った太陽光発電の普及のため、設置費補助金に代わる取り組みをこれまで2つ立ち上げている。「屋根ぢから」ソーラープロジェクトでは、低金利ソーラーローンを提供する金融機関の認定や太陽光発電販売店の公募に取り組んでいる。「屋根貸し」マッチング事業では、建物の所有者と屋根を借りて発電を進める事業者を取り持つ。今回の地図サービスは3本目の柱となる形だ。

東京都内の約260万棟が対象

 サービス範囲は島しょ部を除く東京都内全域。約260万棟が対象だ。サービスページにアクセスすると、図1のような地図が現れる。米Googleの地図サービスを利用した。

図1 ソーラー屋根台帳の選択画面 出典:東京都

 図1の地図をクリックするか、住所を入力すると赤や黄色の四角が地図上にちりばめられた詳細画面に移動する(図2)。色付きの四角は、戸建て住宅やビルなど独立した建物を示している。太陽光発電システムの設置に適しているものを赤、条件付きで適しているものを黄色で表した*2)

*2) 日射量が1100kWh/m2以上のものを赤(適合度が「適」)、850〜1100kWh/m2のものを黄色(適合度が「条件付き適」)に分類した。着色がない建物は日射量がそれ以下になるもの、または屋根面積が20m2以下のもの。

図2 ソーラー屋根台帳の詳細画面 出典:東京都

 赤い建物をクリックすると、図3のように該当する建物の詳細情報が分かる。例に挙げた建物が「適」に分類された理由は、年間予想日射量が都の定めた条件よりも多いため。5.1kWのシステムを導入可能で、一般家庭の0.8世帯分の電力需要をまかなうことができるとある。いずれも後ほど紹介するシミュレーションによって得た計算値であり、判断の目安として捉えたい。なお、推定設置容量の根拠は算出対象屋根面積10m2当たり1kWというもの。

図3 太陽光発電について建物ごとの条件を表示したところ 出典:東京都

 黄色い建物の例を図4に示す。屋根の面積は図3の建物と比べて2.6倍広い。13.2kWもの太陽電池を設置できるようだ。だが、1m2当たりの年間日射量が多少劣るため、条件付き適に分類されている。このように、「黄色で表示されている=発電量が少ない」と捉えてはいけない。

図4 黄色い「条件付き適」の建物の条件を表示したところ 出典:東京都
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