住宅の決め手は「熱」、太陽電池3.8kWでゼロエネルギースマートハウス(2/2 ページ)

» 2014年04月04日 11時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
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どの程度ゼロエネルギーを実現できるのか

 高断熱を生かして空調費用を削減できるため、スマートエコイエゼロでは屋根に出力3.8kWの太陽電池を設置すると、エネルギー収支がプラスマイナス0になる。太陽光発電普及拡大センターの調査によれば、2013年10月〜12月の期間、太陽光発電システムを導入した新築住宅の平均設置容量は4.13kW。つまり平均よりも1割程度少ない設置容量で十分だということになる。

 図3は同社が計算したモデルプラン*3)におけるエネルギー収支と光熱費の収支だ。モデルプランでは年間のエネルギー消費量(68.2GJ)を103%削減して、正味2.2GJを生み出している。年間約23万2000円だった光熱費は、約2万4000円の「黒字」に変わる。

*3) 延床面積110.54m2、4人家族をモデルプランとした。大阪府に建設し、関西電力と大阪ガスと契約を結び、太陽光発電システムを3.8kW(売電価格は37円/kWh)導入した場合の試算。エネルギー消費量は建築環境・省エネルギー機構(IBEC)のデータを、光熱費は総務省のデータを用いた。

図3 エネルギー収支(左)と光熱費の収支(右) 出典:パナソニック

 同社はこの他、3点の要素をスマートエコイエゼロに盛り込んでいる。1点目は夏季の「熱ごもり」を防ぐ、建物内の24時間換気システム「ココチイーシステム」である。PM2.5や花粉を除去する仕組みを備える。2点目は同社のHEMS「AiSEG」(関連記事)と、AiSEGに結び付く次世代住宅分電盤「スマートコスモ」だ。エネルギー消費の見える化とエネルギー制御が可能になる。太陽電池や蓄電池とも連携する。

 3点目は木材と鉄の複合梁(はり)であるテクノビームを用いた構造体テクノストラクチャーだ。軒を持ち出した(張り出した)屋根構造を採りやすいため、夏季の太陽光をカットでき、かつ、冬季は太陽光を妨げないという(図4)。

図4 受動的に日射を利用する 出典:パナソニック
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