電気バスに無線で電力を送る、羽田空港の周辺で2015年に運行電気自動車

電力を無線で送る「ワイヤレス充電」の技術は、携帯電話のほかに電気自動車にも応用できる。東芝は電気バスにワイヤレス充電システムを搭載して、2015年度から羽田空港の周辺地区で実証研究を始める予定だ。短距離走行で充電頻度の多い電気バスに適用して実用性を検証する。

» 2014年05月12日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 東芝は早稲田大学と共同で、「ワイヤレス充電バス」の実証研究を2014〜2016年度の3年間をかけて実施する。環境省が48億円の予算を投入する「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の補助金を活用したプロジェクトである。

 実証研究では中型と小型の2種類の電気バスを使って、ワイヤレス充電システムの性能やコストを比較検討することになっている(図1)。駐車スペースに設置した充電パッドから、電気バスの受電装置に無線で電力を送り、走行用のリチウムイオン蓄電池に充電する仕組みである。

図1 電気バスを対象にしたワイヤレス充電のイメージ。出典:東芝

 バスは通常の自動車と比べて車高が高いために、電力を無線で送る距離が長くなる。東芝と早稲田大学は1メートル以上の距離でも電力を送ることが可能な「磁界共鳴方式」を採用する方針だ。これにより停車位置がずれた場合の許容範囲を広くとることができる。

 実証研究の場所は、神奈川県の川崎市が環境・ライフサイエンス分野の研究開発拠点として2016年度までに整備する「キング スカイフロント」を予定している(図2)。多摩川をはさんで羽田空港に隣接する国際戦略総合特区で、陸・海・空すべての交通網が整っている。

図2 羽田空港の対岸にある「キング スカイフロント」。出典:川崎市総合企画局

 その中で全日本空輸が「キング スカイフロント」と羽田空港周辺を結ぶ社用バスをワイヤレス充電で走らせる。この区間は片道5キロメートル程度の短距離で、電気バスを運行するのに向いている。ただし頻繁に電力を補充する必要があるため、充電器と接続する手間のかからないワイヤレス充電の利便性を生かすことができる。

 東芝と早稲田大学は2014年度中に機器の設計と運行ルートの選定を完了して、2015年度から2016年度にかけてワイヤレス充電バスの実証走行を続ける計画だ。

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