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» 2014年05月13日 13時00分 UPDATE

スマートオフィス:太陽光パネルを節電にも、外壁に使って冷暖房のピークを半減

大手の建設会社が太陽光パネルを外装に利用した「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」の開発に力を入れ始めた。三井住友建設は太陽電池を組み込んだ2種類のユニットを自社ビルの外壁に実装。断熱効果に加えて季節に応じた換気を可能にして、夏と冬の冷暖房のピーク負荷を半減させる。

[石田雅也,スマートジャパン]
mitsui_sumitomo1_sj.jpg 図1 外壁に太陽光発電システムを組み込んだビル。出典:三井住友建設

 三井住友建設は千葉県の流山市にある技術開発センターを「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」の実証の場にして、太陽光パネルを活用したビルの省エネ対策に取り組んでいる。新たに自然通風と採暖の機能を持たせた太陽光発電システムを開発して、センター内のビルの一部に実装した(図1)。

 このシステムでは太陽電池を建材に組み込んだ2種類のユニットを使い分ける。1つはビルの外壁に使うために、汎用的な太陽電池モジュールを外装用のパネルと一体化した「外装ユニット」。もう1つは太陽電池の設置角度を変えられる「可変ユニット」である。ビルの外壁の最上部と最下部に可変ユニットを装着して、季節に合わせて効率的な通風を可能にした。

 冬の暖房シーズンには最下部の可変ユニットだけを開放すると、外装ユニットの太陽電池の裏側を温められた空気が上昇して室内に入る(図2)。この温風効果で暖房負荷を48%削減できる想定だ。

 一方で夏の冷房シーズンには上下の可変ユニットを両方とも開放する。自然の通風によって太陽電池の温度上昇を抑えることができ、発電効率が4%向上する。さらに外壁からの熱を遮断する効果によって冷房負荷のピークを55%削減することが可能になる。

mitsui_sumitomo2_sj.jpg 図2 建材一体型の太陽光発電システムの構成と季節による空気の流れ。出典:三井住友建設

 太陽電池を組み込んだユニットは1枚で95Wの発電能力がある。今回実装した枚数は可変ユニットを上下合わせて6枚、外装ユニットを42枚の構成で、合計4.56kWの発電能力になる。一般的な住宅用の太陽光発電システムと同程度である。

 ビルの高さが12メートルと低いことから、より高層の大規模なビルに適用できれば発電・節電効果は大きくなる。太陽光発電で電力を供給しながら、節電効果で電力の使用量を抑制することで、ビル全体の消費エネルギーを実質的にゼロ以下にする「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」に近づく。

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