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» 2014年05月16日 07時00分 UPDATE

自然エネルギー:潮流発電を2018年に実用化へ、環境省が5年間の開発・実証事業

島国の日本にとって海洋エネルギーの開発は将来に向けた大きな課題だ。膨大な潜在量が見込まれる海洋エネルギーの中で、環境省は潮流発電に焦点を当てた技術開発プロジェクトを開始する。2018年の実用化を目指して、発電能力が500kW以上の設備を使った実証事業を推進していく。

[石田雅也,スマートジャパン]

 環境省は2014〜2018年度の5年間をかけて「潮流発電技術実用化推進事業」を実施する計画だ。潮流発電に必要な要素技術の開発から始めて、海中における実証試験を通じて、2018年までに実用化に向けた発電システムの確立を目指す(図1)。

choryu1_sj.jpg 図1 「潮流発電技術実用化推進事業」の実施スケジュール。出典:環境省

 初年度の2014年度は5億5000万円の予算を割り当てることにして、5月14日に事業者の募集を開始した。6月13日まで応募を受け付け、6月末に決定する。すでに実施海域が確定していて地元の漁業関係者などから合意を得られていることが応募の条件になる。発電設備は1基あたりの出力が500kW以上になるもので、国内の海域に広く適用できる仕様にする必要がある。

 日本では瀬戸内海を中心に大量の潮流エネルギーが分布している(図2)。瀬戸内海の東にある鳴門海峡から西にある関門海峡までの海域のほか、新潟県や長崎県の半島・離島の周辺にも潮の流れの速い海域がある。これらの海域の中から事業対象が選ばれる可能性が大きい。専門家の試算によると、鳴門海峡だけで原子力発電1基分に相当する100万kW以上の潜在量が見込まれている。

choryu2_sj.jpg 図2 潮流エネルギーのポテンシャル分布。出典:新エネルギー・産業技術総合開発機構

 潮流発電はイギリスをはじめ欧州で実用化が進んでいるが、日本では取り組みが遅れていた。数少ない実例としては北九州市が2011年度から開始した「関門海峡潮流発電設置推進事業」がある(図3)。この実証事業は海中に設置した垂直軸の水車を潮流で回転させて、最大で1.4kWを発電する試みだ。

 関門海峡に面したニッカウヰスキーの門司工場の桟橋で実施した実証試験では、海峡の中で潮流が遅い場所だったにもかかわらず、風力発電並みの20%を超える発電効率が得られた。潮流は天候の影響を受けにくく、安定した発電量になる利点がある。

choryu3_sj.jpg 図3 北九州市の「関門海峡潮流発電設置推進事業」の実証状況。実験機(左)、設置工事(右上)と設置状態(右下)。出典:北九州市環境局

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