新・海洋基本計画がまとまる、浮体式の洋上風力は2015年度に技術を確立自然エネルギー

内閣の総合海洋政策本部が新たに5か年の「海洋基本計画」を策定した。その中で洋上風力発電など海洋再生可能エネルギーの実用化に向けた施策をまとめた。浮体式の洋上風力発電は2015年度までに技術を確立する一方、安全ガイドラインを2013年度中に策定する方針も示した。

» 2013年05月07日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 一般にはあまり知られていない内閣の組織として「総合海洋政策本部」がある。2007年に我が国の海洋資源の開発・利用と海洋環境の保全を目的に「海洋基本法」が制定され、それに合わせて設置した。本部長は内閣総理大臣が務める。この法律に沿って国の具体的な施策をまとめたものが「海洋基本計画」である。2008年に最初の5か年計画が作られたのに続いて、新たに2013年度からの5か年計画がまとまった(図1)。

図1 海洋基本計画の位置づけ。出典:総合海洋政策本部

 新・旧の5か年計画ともに12分野の基本施策を掲げ、その中で「海洋資源の開発及び利用の推進」を1番目に挙げている。旧計画ではメタンハイドレートなどの資源開発については施策を盛り込んでいたが、再生可能エネルギーに関しては必要性を言及するにとどまっていた。

 新・5か年計画では洋上風力発電をはじめ、波力・潮流・海流・海洋温度差を含めて海洋エネルギーの利用を促進するための施策を具体的に提示した(図2)。洋上風力発電に関しては進行中の実証実験をふまえて、着床式の技術を2014年度、浮体式の技術を2015年度までに確立する方針を明記した。浮体式については安全ガイドラインも2013年度中に策定する予定だ。

図2 海洋再生可能エネルギーに関する主な施策。出典:総合海洋政策本部

 波力などに関しては発電コストを1kWhあたり40円以下に抑えることを目標に実機を開発する。合わせて発電設備の設置方法として浮体式や海中浮遊式などの安全対策の検討も進める。特に東日本大震災からの復興を目的に、東北沿岸の自然条件で成立するための高効率・高信頼性・低コストの発電システムをテーマに研究開発を推進していく。

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