自然がもたらす再生可能エネルギーは巨大な潜在量を秘めている。中でも日本にとって有望な分野が海洋エネルギーだ。洋上風力に加えて波力、潮流、海洋温度差、海流の5つの分野で、政府が実証実験に乗り出す。対象になるフィールドの具体的な条件を公表した。2013年度中に決定する。
ヨーロッパではイギリスを先頭に海洋エネルギーの開発が着々と進んでいる。残念ながら海洋国家の日本は出遅れていて、ようやく政府が実証実験に本格的に乗り出す段階だ。このほど候補になるフィールド(海域)の条件を決めて公募を開始した。2013年度中にフィールドを選定して実証実験の準備に入る。
対象になる海洋エネルギーは5種類ある(図1)。現時点で実現性が最も高いのは「浮体式洋上風力」で、すでに環境省が長崎県の沖合で実証実験を進めている。公募の条件は平均風速が7メートル/秒以上で、水深が200メートル以下。この条件に合う海域は日本の沿岸に数多くあり、相当数の自治体からの応募が予想される。
そのほかの4分野は「波力」「潮流」「海洋温度差」「海流」である。このうち波力と潮流は新潟県の粟島や兵庫県の淡路島の周辺海域などで開発プロジェクトの検討が始まっている。全国の島が有力な候補になりそうだ。
海洋エネルギーの実証実験を推進するのは内閣官房に設置した「総合海洋政策本部」で、本部長は内閣総理大臣が務める。2013年度の国家予算の中にも浮体式洋上風力発電と海洋エネルギーの研究開発事業が盛り込まれた。国を挙げた取り組みが2013年度から始まり、具体的な開発プロジェクトが複数の周辺海域で展開されることになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.