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» 2014年05月19日 13時00分 UPDATE

スマートシティ:住宅の屋根をまとめて10kW以上の太陽光発電に、神奈川県が新たな支援制度

現在の固定価格買取制度では、太陽光発電システムの出力が10kWを境にして、価格や期間、さらに買い取る量の条件も違う。神奈川県は複数の住宅の屋根をまとめて10kW以上の太陽光発電を可能にして、発電した電力の全量を買取の対象にできる支援制度を創設した。

[石田雅也,スマートジャパン]

 太陽光発電の買取条件は出力が10kW未満の住宅用と10kW以上の非住宅用に分かれている。それぞれで買取価格や買取期間が違っていて、価格は住宅用が1kWhあたり5円高く(税抜き)、期間は住宅用の10年間に対して非住宅用は20年間と長い(図1)。

kanagawa_yanekashi3_sj.jpg 図1 太陽光発電の買取価格と買取期間(2014年度に認定を受けた発電設備の場合)。出典:資源エネルギー庁

 もう1つの大きな違いは、住宅用の場合には家庭内で消費した後の余剰分しか買い取ってもらえないことだ。現在の買取価格は電力会社から購入する電力の単価よりも高く設定されているために、全量を売電できたほうが得になる。非住宅用であれば、発電した電力の全量が買取の対象になる。

 こうした問題を解消するために、神奈川県は複数の住宅の屋根に設置する太陽光発電システムをまとめることで、非住宅用の10kW以上まで出力を増やせる支援制度に乗り出した。県が選定した事業者が住宅の屋根を借りて合計10kW以上の発電設備を設置して、住民に屋根の賃料を支払う仕組みだ(図2)。全国の自治体で初めてのユニークな試みである。

kanagawa_yanekashi1_sj.jpg 図2 複数住宅の屋根貸しによる太陽光発電事業のスキーム。出典:神奈川県産業労働部

 この制度によって、屋根を貸した住民は安定した収入を得ることができる。住民は賃料を受け取る方法を3つのパターンの中から選択して、合計で80万〜95万円程度の収入を得られる見込みだ(図3)。発電設備の維持管理や修繕は事業者が責任を負うことになっている。

kanagawa_yanekashi2_sj.jpg 図3 住民が選択できる賃貸借契約の3パターン。出典:神奈川県産業労働部

 すでに神奈川県は対象になる地域を公募して、綾瀬市の一部の地域で実施することを決めた。地域内で50戸程度の住宅を募集したうえで、8月から発電設備の設置工事を開始する予定だ。発電事業者も公募を通じて、横浜市の太陽光発電システム設計・施工会社を選定した。神奈川県は綾瀬市と発電事業者の双方に補助金を支給して新制度を促進していく。

 神奈川県では県内のエネルギー自給率を高める「かながわスマートエネルギー構想」を推進中で、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの導入量を増やしている。複数の住宅の屋根を対象にした新たな支援制度もスマートエネルギー構想の一環で実施する。

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