どうしたら電力が売れるのか、コンサルサービス始まる電力供給サービス

大日本印刷は2014年8月18日、「電力小売事業向けコンサルティングサービス」を開始した。新電力(特定規模電気事業者)に参入する企業に対して、顧客となる対象領域の設定から、マーケティング戦略、販売モデルの設計までを提供する。国内最初期のサービスだろう。

» 2014年08月19日 11時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 大日本印刷は「電力小売事業向けコンサルティングサービス」を2014年8月18日に開始した。新電力(特定規模電気事業者)に参入する企業に対して、対象領域の設定から、マーケティング戦略、販売モデルの設計までを提供する国内最初期のサービスだといえる。「今回のサービスと競合する他社のサービスはいまだないと考えている」(同社)。

電力を購入する「生活者」の考えていること

 新電力への届け出企業は200社を超えている。2016年に始まる一般家庭への電力小売自由化が狙いだ。参入企業の事業基盤や強みはそれぞれ異なる。こうなると価格とサービス内容の両面で激しい競争が始まりそうだ。ところが、新電力への切り替えを申し込む側(生活者)にとっては、電力商品やサービスが急に複雑になると、付いて行きにくい。

 大日本印刷は2014年6月に全国の生活者向けに意識調査を行った。新電力への切り替え需要がどの程度あるのか、把握するためだ。「当社のB2Cサービスの会員を対象として調査した」(同社)。

 その結果、大きく4つのことが分かったという*1)。第1に、調査対象の6割以上が新電力への切り替えを望んでいた。第2に、男性と女性を比較すると男性の方が「切り替え推進派」の比率が高い。しかし、家庭内で切り替えの決定権を持っているのは女性の方が多かった。これだけでも市場の規模と、マーケティングの対象を大まかに見積もることができる。

 どの新電力が切り替え対象になるのだろうか。第3に分かったことは、「環境負荷への企業姿勢」「再生可能エネルギーの活用」「サポート体制の充実」が重視されるということ。第4に新電力の申し込み方法としてインターネットを希望する層が多いということだ。実際にサービス申し込みを始めるなら、インターネット上に窓口を設けなければならないことが分かる。

*1) 生活者意識調査の調査結果は非公開。

生活者のあぶり出しから始める

 大日本印刷のコンサルティングサービスは、3段階に分かれる。第1段階はどの層を顧客と捉えるのかという戦略的ターゲット設定だ。先ほどの生活者意識調査などから、新電力への切り替え意欲の高い生活者の属性を明らかにするとともに、そのような生活者の見込み数を絞り込む。その上で電力消費量が多い層が対象として適切だという。

 第2段階はマーケティング戦略である。第1段階で定めた戦略的ターゲットに対して、コンサルティングサービスを申し込んだ企業が採用しやすいマーケティング戦略を立案する。サービス内容や販売方法の他に、訴求内容や価格、販促手法などの受容性調査を実施する。最も単純な例はこうだ。「通信事業者であれば、通信サービスとセットで電力を販売することを前提にするとよい」(同社)。

 第3段階は実際の販売モデルの設計・構築である。申し込み受付のプラットフォームや付加価値サービス、プロモーション施策などを具体化するという。

 「第1段階から第3段階までコンサルティングを進めて行くには、最低でも6カ月、長期にわたる場合は2年程度かかりそうだ。サービスの料金体系は250万円/人月である」(同社)。担当者1人で対応可能な場合が多いという。

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