国内の太陽光発電は2030年に1億kWへ、化石燃料を年間1兆円以上も削減自然エネルギー

太陽電池メーカーなどで組織する太陽光発電協会が2030年度までの設置状況を予測した。2013年度末で太陽光発電の規模は累計1400万kWになり、さらに2030年度には7倍の1億kWに拡大する見通しだ。火力発電の減少に伴って化石燃料の輸入額が年間に1兆円以上も削減できる。

» 2014年08月20日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 太陽光発電協会の予測方法は固定価格買取制度の認定状況をもとに、認定を取消・断念するケースを除いたうえで、発電事業者の施工能力を考慮して試算した。それによると2013年度末の太陽光発電設備の設置量は1431万kWで、2020年度までは年間に700〜800万kWのペースで増加する(図1)。2020年度には累計で6900万kWに、2030年度には1億kWまで拡大する見込みだ。

図1 太陽光発電の設置量予測(系統連系の制約による設置断念は含まず)。GW=100万kW。MW=1000kW。出典:太陽光発電協会

 2020年度以降は年間の設置量が大幅に低下することを想定している。太陽光発電に適した設置スペースが少なくなることに加えて、固定価格買取制度のインセンティブも働かなくなる可能性が大きいためだ。特に出力1MW(メガワット)以上のメガソーラーの設置量が減っていく。

 予測のとおりに太陽光発電が拡大すると、2030年度には年間の発電量が1124億kWhに達して、国内の総発電量の約12%を占めることになる(図2)。これだけの発電量によって火力発電を代替できれば、石油に換算して年間に1兆8000億円、LNG(液化天然ガス)の場合で1兆4000億円の輸入額を削減する効果が見込める。日本全体のCO2排出量も4.2%少なくなる。

図2 太陽光発電の導入効果(化石燃料の輸入コストは2013年度の実績価格で試算)。出典:太陽光発電協会

 太陽光発電協会によると、2014年度以降の設置量の限界は発電設備の施工能力が最も大きく影響する。すでに太陽光発電システムの販売・施工会社は全国で5000社を超えていて、2014年度の施工能力は2013年度よりも10%拡大する見通しだ。2015年度以降は前年度の5%増を前提にした。

 このほかに太陽光発電で問題になる系統連系の制約を考慮していないため、予測ほど設置量が増加しない可能性も大いにある。太陽光発電協会では2030年に向けた普及のシナリオとして、太陽電池のコストダウンに加えて、電力会社の系統に負担のかからない地産地消型の導入例が増えることを予想している(図3)。

図3 2030年に向けた普及シナリオ。出典:太陽光発電協会

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