商用化を模索する超小型EVカーシェアリング、横浜市の実証実験を1年延長電気自動車

横浜市と日産自動車は2人乗りの超小型EVによるカーシェアリングの実証実験を2015年9月まで1年間延長する。合計70台を使って国内最大規模のEVカーシェアリングを実施してきたが、台数を50台に減らして稼働率を高める一方、料金体系を拡充して利用者数と利用時間を増やす狙いだ。

» 2014年09月25日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 横浜市と日産自動車が2013年10月に開始したEV(電気自動車)のカーシェアリングサービス「チョイモビ ヨコハマ」は1年間の実証実験で登録会員が1万人を突破して、週末を中心に利用実績を上げてきた。カーシェアリングに使用するEVは日産自動車が開発した2人乗りの「NISSAN New Mobility CONCEPT」で、横幅が1.2メートルしかない超小型ながら、航続距離は100キロメートルまで可能だ(図1)。

図1 超小型EVの走行風景。出典:チョイモビ ヨコハマ実行委員会

 当初は2014年9月末までの1年間で実証実験を終了する予定だったが、多くの利用者から好評を得る一方、平日の稼働率が低いなどの課題も明らかになったため、2015年9月末まで実証実験を延長することにした。70台のEVを投入した第1期と比べて、11月1日から開始する第2期では50台に減らして稼働率の向上に取り組む(図2)。合わせてEVの貸渡・返却拠点になるステーションの設置場所も一部を見直す。

図2 実証実験の概要。出典:チョイモビ ヨコハマ実行委員会

 さらに従来は1種類しかなかった料金体系を2種類に増やして、会員の利用パターンに合ったプランを選択できるようにする。これまでは1分あたり20円の従量制の料金プランだけだったが、第2期では月額1000円の会費で50分まで乗り放題の「Aプラン」と従量制で1分30円の「Bプラン」を用意する(図3)。このほかに地元の企業を対象にした法人プランも導入する予定だ。

図3 第2期の料金体系。出典:チョイモビ ヨコハマ実行委員会

 横浜市と日産自動車は第2期を通じてEVカーシェアリングの事業モデルを成熟させる狙いである。車両の台数やステーションの配置を最適化することに加えて、リピータになる横浜市内の住民や法人の利用を促進して平日の稼働率を高めていく。地域の商店街や公共交通機関と連携したサービスも計画している。

 チョイモビ ヨコハマの第1期で登録した1万人強の会員のうち、約6割は横浜市内の居住者だが、残りの4割は神奈川県内の他の市町村と県外からの利用者が占める。1回あたりの利用時間は平均16分で、移動距離は約3キロメートルだった。観光客でも手軽に利用できるメリットがある半面、平均利用時間が短いために収益面の課題が残っている。

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