生協が4つ集まりバイオマス、電力を調達し供給も自然エネルギー

日本生協連と東北3生協は、2014年9月、木質バイオマス発電所の立ち上げを準備する野田バイオパワーJPへの出資を決めた。日本紙パルプ商事と新エネルギー開発の共同出資による発電事業会社へ出資することで、電力調達を狙う。

» 2014年10月02日 13時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 生協が自ら電力を調達し、供給する動きが一歩進んだ。日本生協連と東北3生協は、2014年9月、木質バイオマス発電所の立ち上げを準備する野田バイオパワーJPへの出資を決めた。

 「日本生協連といわて生協、みやぎ生協、コープ東北サンネット事業連合の四者が出資するのは合計1億円だ。野田バイオパワーJPの資本金5億2000万円のうち、10%に相当する5200万円を出資する。残りの4800万円は出資準備金だ」(日本生協連)。資本金のうち、日本生協連が9%、東北3生協が合計1%を構成する。

 日本生協連は、2014年6月、新電力会社(PPS)である地球クラブを設立している。目的は、再生可能エネルギーを中心に電力を調達し、首都圏の生協関連設備に電力を供給することだ。供給規模は5.7MW。

 既に太陽光発電設備からの調達が決まっているものの、首都圏に位置する同設備の割合が低いため、大部分をバイオマス発電で調達するとしていた。今回調達先が決まった形だ。

 バイオマス発電所に近いいわて生協では、さらに将来の姿を描いている。「地球倶楽部は首都圏での電力供給をまず予定しているものの、今後は当生協の事業所への供給も期待している」(いわて生協)*1)

*1) いわて生協は太陽光発電によって年間53万kWhの電力を得ている他、風力発電に共同参加し、約550万kWh(関連記事)を得る計画だ。2015年春に完成を予定する。

岩手県で電力を調達

図1 岩手県野田村と発電所の位置

 野田バイオパワーJPは、日本紙パルプ商事と新エネルギー開発の共同出資による発電事業会社。約65億円を投じ、出力1万4000kWの木質バイオマス発電所を岩手県野田村野田に立ち上げる(図1)。敷地面積は約3万m2

 2012年8月から計画が始まっており、2014年8月に造成工事に着工。2016年4月の発電開始を予定する。発電所ではオーストリアAndritzの流動層ボイラーを利用し、蒸気タービン発電機を駆動する形を採る。

 野田村森林組合や岩手県内の森林組合、林業社などから燃料を調達する。未利用材7万トンなど年間14万トンの燃料を使用する。樹皮(バーク)や剪定(せんてい)枝の他、海外のパームヤシ殻(PKS)も使う。発電電力量は年間9648万kWh、これは一般家庭2万6800世帯分の年間使用電力量に相当する。売電収入として年間約26億円を見込む。

【訂正】 記事の掲載当初、第2段落で「資本金4億6800万円のうち、10%に相当する4680万円を出資する。残りの5320万円は出資準備金だ」としておりましたが、これは「資本金5億2000万円のうち、10%に相当する5200万円を出資する。残りの4800万円は出資準備金だ」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。上記記事はすでに訂正済みです。(2014年10月2日)

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