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» 2014年10月24日 21時00分 UPDATE

電力供給サービス:太陽光の新規買取はどうなる、政府調査会の議論が明らかに (1/4)

電力5社が保留する太陽光発電などの新規の電力買取。各社は政府の調査会の結論を見て、保留解除後の行動を定める。2014年10月16日に第1回が開催された調査会「系統ワーキンググループ」である。10月24日に公開された議論の内容を交えて紹介する。資源エネルギー庁は無補償で太陽光などの出力を抑制する「30日ルール」をさまざまに拡張する案を示した。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 九州電力など5つの電力会社が、太陽光発電など、再生可能エネルギーの新規買取を保留している(関連記事1関連記事2関連記事3)。電力会社は経済産業省の調査会で進む議論の結論を見て、今後の新規買取の方針を定めるという*1)

 では調査会の議論はどうなっているのか。第1回の会合は2014年10月16日に開催された。「総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 新エネルギー小委員会 系統ワーキンググループ(系統WG)」だ*2)。同10月24日には議事要旨も公開され、委員やヒアリング団体、事務局のコメントが明らかになった。

 WGで配布された資料と議事要旨を基に議論の方向性を紹介する(委員のコメントへ)。

*1) 2014年10月22日には5つの電力会社に含まれていない北陸電力が、「太陽光発電設備の系統連系状況について」と題する文書を公開。系統WGへの参加を申し入れる予定とした。同日、中国電力は「再生可能エネルギーの導入状況」を公開、発電設備の接続を保留する必要がないことを明らかにした(関連記事4)。
*2) 座長は東京大学生産技術研究所特任教授の荻本和彦氏。委員は東京大学や横浜国立大学の教授、准教授の4人。第1回はオブザーバーとして、太陽光発電協会の事務局長、日本風力発電協会の企画局長、電気事業連合会の電力技術部長の3人が参加した。電力会社からは、北海道電力、東北電力、四国電力、九州電力、沖縄電力から1人ずつ参加。新規買取を保留している電力会社は全て参加した形だ。

再生エネ導入がなぜ問題なのか

 議論を始めるに当たり、資源エネルギー庁が取りまとめた「再生可能エネルギーの状況について」(配付資料3)が、出席者の共有する前提となった*3)

*3) この他、「地域間連系線の運用ルール等の現状について」と題した資源エネルギー庁の資料も配付されたものの、新しい提案がないため、議論にはならなかったようだ。連系線の活用自体は系統WGの議論の対象となっているため、第2回以降の内容を確認する必要がある。

 発電電力量(kWh)に占める現在の再生可能エネルギーの割合は水力発電(8.5%)を除くと2.2%程度しかない。2014年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」では、2030年の目標値を明確に示していないものの、2割を超える目標となっている*4)

*4) 2010年6月に開催した総合資源エネルギー調査会総合部会・基本計画委員会合同会合資料の「2030年のエネルギー需給の姿」にある「2030年の発電電力量のうちの再生可能エネルギー等の割合は約2割(2140億kWh)」という数字よりも、「更に上回る水準の導入を目指し」(エネルギー基本計画)としている。

 資源エネルギー庁が配付資料3で示した数字は、2030年に電源構成比(kWh)の21%を再生可能エネルギーで賄うというもの。水力が1073億kWh(10.5%)、太陽光が572億kWh(5.6%)、その他が496億kWh(4.8%)という内訳だ。設備容量(kW)では、水力が5560万kW、太陽光が5300万kW。バイオマスを除く全ての再生エネを合計すると1億2025万kWとなる。

 現在の太陽光発電の認定容量(発電に至っていないものを含む数字)を見ると、2014年に入って急速に増加しており、太陽光だけが目標を大幅に突出している(図1)。

 図1では基本計画を大幅に超過している数値を実線の青枠で、多少超過している数値を点線の青枠で示した。

yh20141024WG_basicplan_590px.jpg 図1 エネルギー基本計画と現状の設備容量の比較(クリックで拡大) 出典:資源エネルギー庁の公開資料を一部編集

電力5社は受け入れ困難を主張

 太陽光が突出する中、電力会社側の状況は図2のようになっている。「設備認定量>低負荷電力需要」となると、危険信号が点る。例えば、九州電力単独では申込量を全て導入することが難しいことが読み取れる。

 例えば太陽光発電の出力が最大になると、火力発電所などの出力を最小限に絞っても、予測される電力需要を超えてしまう日がある。すると、電力の周波数を一定範囲に保つことができなくなり、停電に至る可能性もあるという主張だ。需要調整力が不足するという、このような主張の論理は正しい。

yh20141024WG_5companies_590px.jpg 図2 電力5社の現状(クリックで拡大) 出典:資源エネルギー庁
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