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» 2014年10月27日 13時00分 UPDATE

自然エネルギー:地中熱でゼロ・エネルギーに、浅層部から採熱してコストを40%抑える

地中の熱を取り込んで空調や給湯に利用する建物が増えている。積水化学工業は地下10メートル以内の浅い部分から地中熱を取り込むシステムを開発して、施工コストを従来の工法と比べて40%も削減できるようにした。電力と熱を自給自足するネット・ゼロ・エネルギーの取り組みを促進する。

[石田雅也,スマートジャパン]

 地中は年間を通じて温度が安定しているため、夏の冷房や冬の暖房などに利用すると電力の消費量を大幅に削減することができる。再生可能エネルギーの一種である地中熱を利用した空調・給湯システムを導入して、実質的なエネルギーの消費量をゼロにする「ネット・ゼロ・エネルギー」に取り組む企業が増えてきた。

 ただし地中から熱を取り込むための採熱管を埋設する必要があり、施工コストが課題になっている。積水化学工業は地中の浅い部分から熱を取り込んで空調や給湯に利用できる水平型のシステムを新たに開発した(図1)。

sekisui1_sj.jpg 図1 水平型の地中熱利用システムの設置イメージ。出典:積水化学工業

 従来の地中熱利用システムでは、地下100メートル程度の深層部まで垂直に採熱管を埋設する「ボアホール方式」が一般的である。これに対して積水化学工業が開発した高効率の採熱管を利用すると、地下10メートル以下の浅層部に水平に設置することが可能になる(図2)。建物の基礎工事と合わせて採熱管を敷設することができるため、ボアホール方式と比べて施工コストを約40%も削減できる。

sekisui2_sj.jpg 図2 採熱管の施工現場(左)と敷設状況(右)。出典:積水化学工業
sekisui3_sj.jpg 図3 熱媒体を循環させるための採熱管。出典:積水化学工業

 地中熱は採熱管の中を水や不凍液などの熱媒体を循環させて取り込む。冬は地中の熱を回収して暖房や給湯に利用する一方、夏には冷房の排熱を地中に放出する仕組みだ。

 新開発の採熱管は高密度のポリエチレンを採用して、一般的に使われている採熱管よりも肉厚を薄くした(図3)。これで採熱効率が約10%向上するために、地中の浅い部分からでも効率よく熱を取り込むことが可能になる。

 積水化学工業はビルなどの非住宅用の建築物を主な対象に、水平型の地中熱利用システムの提案を10月24日から開始した。さらに今後は地中熱を利用しやすい農業用の施設にも展開していく計画だ。

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