患者と環境に優しい医療施設、地中熱による空調やコージェネで負荷軽減自然エネルギー

建物からのCO2排出量をゼロにする取り組みを続ける大和ハウス工業が医療施設を対象にした新商品を発売した。地中熱を利用した風を出さない空調システムなど、患者と環境に優しいエネルギーの利用法を提案している。ガスコージェネレーションを設置して災害時にも電力と熱を供給する。

» 2014年08月13日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 大和ハウス工業が8月1日に発売した「ディーズ スマート メディカル」は、医療施設として災害対策に最大の力点を置いている。耐震・免震構造の建物にBCP(事業継続計画)の機能を盛り込んだ。停電が発生しても電力や熱を確保できるように、ガスコージェネレーションの導入を前提にしている。

 さらに空調システムには地中熱を利用する。年間を通じて温度が安定している地中の熱を空調の熱源として利用することで、夏の冷房と冬の暖房に必要な消費電力を抑えることができる(図1)。建物を支えるために地中に埋め込む杭を利用して地中熱を回収する「ボアホール式」のシステムを採用して設置コストを軽減する。

図1 地中熱を利用した空調システムの仕組み。出典:大和ハウス工業

 空調は風を出さずに、天井から空気中を伝わる放射熱の仕組みを利用する。病室で長時間を過ごす患者の負担を少なくするためである。照明もまぶしさを抑えた方法を取り入れる。空調や照明の電力使用量をエネルギー管理システムで計測して、施設内の機器の運転を最適に制御することによりCO2排出量の軽減につなげる。

 大和ハウス工業は建築物のCO2排出量をゼロにする「スマートエコプロジェクト」を2011年から推進している。オフィスビルから始めて、商業施設、工場、物流施設など用途別に商品を展開してきた。新たに発売した医療施設向けの商品はプロジェクトの第11弾になる(図2)。

図2 医療施設の施工例。出典:大和ハウス工業

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