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» 2014年11月18日 09時00分 UPDATE

エネルギー列島2014年版(31)鳥取:太陽光と小水力に続いてバイオマスも、「森と緑の産業」が息づく地域に

鳥取県では沿岸部の空港や干拓地にメガソーラーが広がり、山間部ではダムからの水流を生かした小水力発電が拡大中だ。県産の木材の需要を増やすために木質バイオマスの利用にも力を入れている。森林の面積が74%に達する地域の特性を生かして「森と緑の産業」を育成していく。

[石田雅也,スマートジャパン]

 全国の自治体の中でも再生可能エネルギーの導入に意欲的に取り組んでいるのが鳥取県だ。県が所有する遊休地に発電事業者を誘致する一方、民間が参入しにくい場所には県みずから発電設備を設置していく。

 現在は3カ所の県有地にメガソーラーを建設中で、1つ目のメガソーラーは鳥取空港の制限区域に建設している(図1)。3万平方メートルの用地に2MW(メガワット)の太陽光発電設備を導入する。2つ目は西部の境港市の工業団地にある緑地に、3つ目は中部の湯梨浜町(ゆりはまちょう)にある浄化センターで工事が進んでいる。

図1 県有地に建設中のメガソーラー。「鳥取空港太陽光発電所」(上)、「竹内西緑地太陽光発電所」(中)、「天神浄化センター太陽光発電所」(下)。出典:鳥取県企業局

 3カ所のメガソーラーはすべて2015年3月に運転を開始する予定で、発電能力を合計すると4.8MWになる。年間の発電量は550万kWhを見込んでいて、一般家庭で1500世帯分の電力を供給することができる。

 民間企業のメガソーラーでは、2014年2月に運転を開始した「ソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク」の規模が圧倒的だ。島根県とのあいだにある汽水湖の「中海」の一部を干拓した53万平方メートルの敷地に、43MWのメガソーラーを建設した(図2)。現時点で稼働中のメガソーラーでは中国地方で最大である。

図2 「ソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク」の設置場所(上)と全景(右からA、B-1、B-2)。出典:SBエナジー

 年間の発電量は4500万kWhを想定していて、一般家庭の1万2500世帯分に相当する。県内で2番目に大きい米子市の総世帯数(6万5000世帯)の2割近くをカバーできる。年間の売電収入は16億円を超えて、その一部は土地を所有する鳥取県や米子市に賃貸料として還元される仕組みだ。

 鳥取県のメガソーラーは日本海に面した沿岸部に多い。対して内陸の山間部では小水力発電の導入プロジェクトが活発だ。農業用水を供給するためのダムの水流を生かした発電所の建設が2カ所で進んでいる。いずれも中国地方で最も高い大山(だいせん)のふもとにある。

 大山から日本海側に下ったところにある「船上山(せんじょうさん)ダム」の小水力発電所は工事が完了して、2014年12月2日から運転を開始する。ダムの直下に建設した発電所で110kWの電力を供給することができる(図3)。発電に利用する水流の落差は約30メートルある。

図3 「船上山発電所」の完成イメージ。出典:鳥取県中部総合事務所

 年間の発電量は80万kWhを見込んでいて、一般家庭で220世帯分の電力使用量に相当する。ダムを運営するのは国だが、発電所は県が建設して、運営は地元の琴浦町が担当する体制になる。総事業費は2億4000万円で、年間の売電収入は2700万円を得られる見通しだ。収益は農業用水施設の維持管理に役立てる。

 同様の小水力発電所は大山から内陸側にある「下蚊屋(さがりかや)ダム」でも建設中だ。落差50メートルの水流を利用して発電能力は197kWになる(図4)。2015年4月に運転を開始する予定で、年間の発電量は150万kWhを想定している。

図4 「下蚊屋発電所」の完成イメージ。出典:農林水産省中国四国農政局

 鳥取県の再生可能エネルギーは太陽光と小水力が中心だが、最近ではバイオマスの取り組みも増えてきた(図5)。地域の森林資源を活用した木質バイオマスの導入プロジェクトが始まっている。

図5 固定価格買取制度の認定設備(2013年12月末時点)

 県内で林業を展開する日新グループが鳥取県からの要請を受けて、境港市の工業団地に木質バイオマス発電所を建設する計画だ。総事業費が26億円にのぼるプロジェクトで、2015年4月に運転を開始する。発電能力は5.7MWである。

 地域の森林で発生する間伐材や林地残材などを燃料に使って、年間に3760万kWhの電力を供給することができる。一般家庭の1万世帯分を超える規模で、年間の売電収入は約12億円の見込みだ。この発電事業のために新たに12人の雇用も創出する。

 鳥取県は県全体の74%を占める森林の活性化を目指して2014年5月に「森と緑の産業ビジョン」を策定した(図6)。全国各地で林業が縮小する中で、鳥取県が先頭を切って持続可能な森林経営を実現する構想だ。その重点施策の1つがバイオマスエネルギーの活用である。

図6 「森と緑の産業ビジョン」の全体像(画像をクリックすると拡大)。出典:鳥取県農林水産部

*電子ブックレット「エネルギー列島2014年版 −中国編−」をダウンロード

2016年版(31)鳥取:「日本最大の営農型メガソーラーで芝を栽培、拡大する小水力発電に光と影」

2015年版(31)鳥取:「水力とバイオマスで電力の27%を供給、地熱発電も始まる」

2013年版(31)鳥取:「中国山地から広がる小水力発電、日本海には巨大な太陽光と洋上風力」

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