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» 2014年11月18日 11時30分 UPDATE

電気自動車:水素を「戦略価格」で販売、燃料電池車普及を助けるか

岩谷産業は2014年11月、水素ステーションにおける水素の販売価格を発表した。価格は1kg当たり1100円(税別)。これはガソリン車の燃料代よりも安く、ハイブリッド車の燃料代に相当する「戦略価格」だという。2020年の目標となっていた価格で水素を販売する。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 岩谷産業は2014年11月、水素ステーションにおける水素の販売価格を発表した。価格は1kg当たり1100円(税別)である。

 同社は4大都市圏(東京、大阪、名古屋、福岡)に20カ所の水素ステーションを建設・計画中であり、このうち一部を除いて全ての価格は同じになる(図1)*1)。「経済情勢によって1100円から価格が変動する可能性はあるものの、1年以上はこの価格で販売する見込みだ」(同社)。

*1) 同社は液体水素を利用した水素ステーションを中核に据えている。兵庫県尼崎市(関連記事)や北九州市では完成しており、東京都港区(関連記事)などで建設が進んでいる。液体水素以外を利用するステーションでは「多少価格が上がる可能性がある」(同社)。

yh20141118Iwatani_amagasaki_448px.jpg 図1 国内初の商用水素ステーション 兵庫県尼崎市に立地 出典:岩谷産業

1100円はガソリンよりも安いのか

 水素の販売価格を決めることは難しい。水素は製鉄業や化学工業などで大量に生産、消費されているものの、一般消費者向けにはほとんど販売されていないことが1つ。

 もう1つは、水素と燃料電池車が鶏と卵の関係にあることだ。燃費(1kmの走行に必要な燃料代)を考えたときに、ガソリンよりも高価だと、普及は難しいだろう。逆に安価であれば、普及が進みやすくなり、販売規模が拡大。よい循環が始まる可能性が高くなる。

 2014年6月に経済産業省と資源エネルギー庁が公開した「水素・燃料電池戦略ロードマップ」では、水素ステーションにおける水素の価格について2つの目標が記されていた。2015年にはガソリン車の燃料代と同等以下、2020年にはハイブリッド車と同等以下という目標だ。

 燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)では、ハイブリッド車の燃料代と同等の水素価格とはどの程度なのかという議論があり、100円/Nm3という数字が出された。そこで、この価格をそのまま採用したのだという。1気圧0度の水素1m3(Nm3の定義)は、約90gなので、1kg当たりに換算して1100円とした形だ。

 「体積で販売すると温度によって量が変化してしまうため、重量で販売する」(同社)*2)。「重量を計測するため、水素を燃料電池車に供給するディスペンサーの下部に質量流量計を設けた。車に向かう水素ガスの重量を直接計測できる」(同社)。

*2) 水素を充填する際、まず冷却してから充填する(プレクール)。充填を続けると、圧力が上がっていき、自然に温度が高くなるためだ。法令上、燃料電池車の水素タンク内の水素の温度は−40度から85度に収める必要がある。

【更新履歴】 記事公開後、本文末に質量流量計について触れた一文を追加しました。(2014年11月18日)

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