太陽光発電の出力制御ルールが変わる、東京・中部・関西の3地域は緩やか法制度・規制

資源エネルギー庁は1月26日付けで、再生可能エネルギーの発電設備に対する出力制御ルールを変更する。当初の案では全国一律の新ルールを適用する予定だったが、地域ごとの状況に応じて条件に差をつけた。東京・中部・関西では出力50kW未満の小規模な発電設備は出力制御の対象にならない。

» 2015年01月23日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 再生可能エネルギーの固定価格買取制度を定めた特別措置法(再エネ特措法)の一部を1月26日付けで改正することが決まった。全国各地で太陽光発電設備が急増したことで、一部の電力会社が発電設備の接続申込を保留する事態に陥ったために、緊急対策を規定したものである。

 特に重要な改正点は、太陽光発電設備に対する出力制御ルールの変更だ。従来は電力の需給状況によって太陽光発電設備の出力を制御する必要が生じた場合に、電力会社は出力500kW以上の大規模な発電設備に限って年間30日まで出力を制御することが認められていた。新ルールでは500kW未満の発電設備まで対象を広げたうえで、年間に360時間まで出力を制御することができる。

 ただし地域によって発電設備の接続可能量の余裕に差があることから、10地域を4つのグループに分けてルールを変えた(図1)。最も余裕がある東京・中部・関西の3地域では、出力50kW未満の小規模な発電設備は対象外になる。これに対して余裕のない北海道・東北・九州では、年間360時間の上限を超えて出力を制御できる「指定ルール」を適用する。

図1 太陽光発電設備に対する出力制御の新ルール(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 この「指定ルール」は地域ごとの接続可能量を超えた時点で適用が始まり、それ以降に接続を申し込んだ発電設備が対象になる。すでに北海道・東北・九州では接続申込量が超過しているため、最初から指定ルールが適用される(図2)。3地域では住宅用を中心とする出力10kW未満の発電設備に限り、2015年4月1日以降に接続を申し込んだ分から指定ルールの対象に加える。

図2 地域別の接続可能量と接続申込量の状況(東京・中部・関西は対象外。画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 電力会社が出力制御を実施して発電量が減っても、発電事業者に対する補償はない。発電事業者には売電収入が大幅に減ってしまう懸念が生じる。今後は太陽光発電設備の導入場所が北海道・東北・九州から東京・中部・関西へ移っていくことも予想される。

 とはいえ電力会社は現在の接続可能量を過大に見積もっているため、実際に出力制御を実施するケースは当面のあいだ少ない。資源エネルギー庁は接続可能量の再検証を継続的に実施する方針を表明している。より現実的な接続可能量に設定し直すことが早期に求められる。

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