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» 2015年03月11日 11時00分 UPDATE

蓄電・発電機器:発電効率50%超の燃料電池、動物園と卸売市場で実証を開始

次世代のエネルギー供給システムとして注目を集める純水素型の燃料電池が山口県内の動物園と卸売市場で実証試験に入る。水素をそのまま燃料に使う方式のためCO2を排出せず、発電効率は50%を超える。電力と同時に作り出す温水は動物や野菜の洗浄用シャワーなどに利用する予定だ。

[石田雅也,スマートジャパン]

 純水素型の燃料電池を設置する場所は、山口県の周南市にある「地方卸売市場」と市が運営する「徳山動物園」の2カ所である。このうち徳山動物園では再生可能エネルギーと燃料電池、電気自動車や電気スクーターを導入して、CO2を排出しない次世代エネルギーパーク計画を推進していく(図1)。

shunan3_sj.jpg 図1 「徳山動物園」の次世代エネルギーパーク計画。出典:経済産業省

 徳山動物園では3月21日(土)から燃料電池の実証試験を開始して、ゾウ舎の電気設備やシャワーなどに利用する予定だ。燃料電池が作り出す電力と温水の実性能や効果を検証する。一方の卸売市場では3月24日(火)から、施設内の空調や照明に電力を供給するほか、野菜を洗浄するシャワーに温水を利用する計画だ。海に面した市場で塩害の影響も検証する。

shunan2_sj.jpg 図2 実証システムの外観。燃料電池ユニット(左)と貯湯ユニット(右)。出典:東芝燃料電池システム

 実証試験に利用する燃料電池は東芝グループが開発したシステムで、通常の家庭用の燃料電池「エネファーム」と比べて発電効率が高く、発電を開始するまでの時間も短い点が特徴だ(図2)。

 エネファームの発電効率が40%程度であるのに対して、純水素型は水素をそのまま燃料に利用できるため50%を超える。実証システムを開発した東芝燃料電池システムは2015年度中にも発電効率を55%まで引き上げる計画で、実証試験に参画する岩谷産業や長府工産と共同で製品化を進める。

 純水素型の燃料電池はエネファームのように都市ガスなどを改質して水素を製造する必要がなく、起動から発電開始までが1〜2分程度と短い。エネファームの場合には発電開始までに約1時間かかるうえに、化石燃料の改質に伴ってCO2を排出する。

 実証試験の対象になる周南市では2013年に液化水素の製造工場が稼働したことから、市を挙げて「水素利活用構想」を推進している。市の中心部をモデル地区に設定して、水素ステーションを展開しながら燃料電池自動車や燃料電池バスを走らせる(図3)。動物園と卸売市場も対象に含まれていて、卸売市場には近隣の水素ステーションから燃料電池用の水素を供給する予定である。

shunan0_sj.jpg 図3 水素ステーションを核にしたモデル地区の展開計画。出典:周南市役所

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