発電・蓄電だけではないゼロエネ住宅、換気や家電制御もスマートハウス

パナホームは2015年4月から、光熱費が負担にならない独自の住宅仕様「ゼロエコ」を適用した戸建住宅を販売する。発電・蓄電と断熱・換気、家電制御の3つの要素を備える。平均的な能力の太陽光発電システムを導入するだけで、ゼロエネルギー化できるよう家全体の仕様を組み合わせた形だ。

» 2015年03月20日 12時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 パナホームは2015年3月17日、光熱費が負担にならない独自の住宅仕様「ゼロエコ」を発表した。背景には国が進める住宅のゼロエネルギー(ZEH)化がある*1)。2015年4月から同社の戸建住宅「カサート」や「エコ・コルディス2」にゼロエコを適用し、販売数量の50%をゼロエコ仕様にする目標を打ち出した。

 ゼロエコの目的は、平均的な能力の太陽光発電システムを導入するだけで、ゼロエネルギー化できるよう、住宅全体の仕様を組み合わせたことにある。これによって経済性がありながら、高い環境性能の実現が可能になったのだという。

 例えば2階建のカサート(延床面積120.04m2)にゼロエコを適用した場合(図1)、参考プランの価格は2930万円(税込)。カサートの場合、一次エネルギー自給率は101%(ゼロエネルギーより1%多い)。太陽光発電の売電額は年間約13.3万円、年間光熱費は約6.3万円のプラスとなる計算だという。エコ・コルディス2の場合は発電性能を強化しており、一次エネルギー自給率は約300%。太陽光発電の売電額は年間約41.7万円、年間光熱費は約35.5万円のプラス。

 同社は2013年時点で、国の政策よりも2年早い2018年に全戸建住宅をゼロエネルギー化することと、系統電力に依存しないことで災害時にエネルギー自立できる家の実現を目標としていた。今回のゼロエコで目標実現を確実にする形だ。

*1) 2012年に経済産業省と国土交通省、環境省が発表した「『低炭素社会に向けた住まいと住まい方』の推進方策について 中間とりまとめ」では「2020年までに標準的な新築住宅でZEHを実現し、2030 年までに新築住宅の平均でZEH を実現すること」とした。この背景には1973年度の家庭部門のエネルギー消費量を100とすると、2012年度には207.2まで増えたことなどがある。

図1 ゼロエコを適用した戸建住宅カサート 出典:パナホーム

3つの仕様を標準化

 ゼロエコ仕様は大きく3つある。「発電・蓄電」と「断熱・換気」「家電制御」だ。発電・蓄電ではHIT太陽電池(4.61kW)とリチウムイオン蓄電池(5kWh)を標準とした。太陽光発電で得た電力を売電する他、蓄電池に蓄え、夜間電力や非常電源として生かす。

 断熱・換気では、基礎の内側まで断熱する丸ごと断熱と、「エコナビ搭載換気システム HEPAプラス」が特徴。地熱を吸収した床下の空気をHEPAフィルター*2)に通じて取り入れることで、エネルギー効率がよく、清浄な換気を実現する。

 家電制御ではスマートHEMS「AiSEG」と住宅内で持ち持ち運び可能な小型テレビ「プライベート・ビエラ」を組み合わせた。部屋ごとのエネルギー消費量を見える化し、エアコンやIHなどの自動制御によってピーク電力を抑制できる。HEMSを通じたテレビ番組の録画も可能だ。

*2) HEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)は、空気からチリなどを取り除き、清浄にする目的で使う一般的なフィルターをいう。ゼロエコの仕様ではPM2.5(微小粒子状物質)はもちろん、それよりも1桁小さなPM0.5にも対応する。直径0.3μmの粒子を99.97%除去できるという。

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