電気バスが「商用運行」、川崎で1日15便電気自動車(1/2 ページ)

東芝が電気バスの販売に乗り出した。同社初の商用電気バスは、川崎鶴見臨港バスに納入した「川崎スマートEVバス」である。2015年4月1日から営業運転を始め、定員56人の電気バスが、1周2.3kmの路線を1日15便運行する。

» 2015年04月03日 16時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 東芝が電気バスの販売に乗り出した。「他社から車体を調達し、当社のリチウムイオン蓄電池『SCiB』を組み込んで丸ごと納入する。バス向けのITとも組み合わせる」(東芝)。

 2015年4月1日、川崎鶴見臨港バスに納入した商用電気バス「川崎スマートEVバス」が川崎市で営業運転を始めた(図1)*1)。ディーゼルバスと比較して、二酸化炭素排出量を約40%削減可能だという。いすゞから車体を調達し、SCiBを組み込んだもの。

 東芝は2012年度に環境省から委託された実証研究事業として、港区のコミュニティバス「ちぃばす」の路線で電気バスで運行した他、2015年度からは全日本空輸の社用バスとして電気バスを実証運行する。今回の事例は東芝初の商用電気バスだ。

*1) 東芝は2013年10月に「スマートコミュニティの実現に向けた連携・協力に関する協定」を川崎市と締結しており、今回の川崎スマートEVバスは協定の取り組みの1例であるとした。川崎市は5つの分野でスマートコミュニティを取り組むとしている。

図1 川崎スマートEVバス 車体の寸法は長さ9.0m、幅2.3m、高さ3.2m(クリックで拡大) 出典:東芝

非常用に役立ち、バスとしての性能も確保

 電気バスとしての特徴は大きく3つある。まず、車内にコンセントを備えており、災害時などにバス自体を非常電源として利用できる。

 次にバスの定員をなるべく減らすことのないような設計を採ったこと。「定員は56人だ。基となった車体から定員があまり減らないように、乗車スペースを確保することを狙って蓄電池セルを配置した*2)。天井や左右の床、後方スペースに分散配置することで実現した」(東芝)。

 最後に蓄電池の搭載量を抑えたことだ。「SCiB電池を1248セル搭載、57.2kWhの容量*3)とした。最大480Aの電流を供給できる」(東芝)。東芝はSCiB蓄電池が一般的なリチウムイオン蓄電池と比較して長寿命であり、急速充電特性がよいと主張する。蓄電池の容量を充電回数でカバーする運用が可能になりそうだ。「合わせて納入したCHAdeMO仕様の急速充電池を利用して1日3回、30分から1時間弱充電する」(東芝、図2)。1回充電すると、1周2.3kmの環状の運行ルートを15周できるという。

*2) 座席の定員は変わらないものの、立ち席の定員がいくぶん少ないという。
*3) 川崎スマートEVバスの重量は1万2350kg、走行可能距離は40km。なお、日産自動車が販売する「リーフ」の重量は1430〜1460kg、蓄電池容量は24kWh、走行可能距離は228km。

図2 川崎スマートEVバス用の急速充電器 出典:東芝
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