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» 2015年04月14日 15時00分 UPDATE

法制度・規制:コージェネで2030年に電力の15%を、災害に強い分散型のメリット

政府が2030年のエネルギーミックスを検討する中で、電力と熱を同時に供給できるコージェネレーションを拡大する議論が始まった。2030年には国内の総発電量のうち15%をコージェネレーションで供給できる試算も出てきた。火力や原子力と違って分散型の電源を拡大するメリットは大きい。

[石田雅也,スマートジャパン]

 将来のエネルギーミックス(電源構成)を決める政府の「長期エネルギー需給見通し小委員会」の中で、委員の1人である柏木孝夫氏(東京工業大学特命教授)がコージェネレーションの拡大を訴えている。東日本大震災で明らかになったように、火力と原子力を中心とする集中型の電源構成は災害に弱い。小規模の電源を分散型で配置することは電力を安定的に供給するうえでも極めて重要なテーマだ。

 分散型の電源には主に再生可能エネルギーとコージェネレーションの2種類がある。コージェネはガスを燃料に使うタイプが企業や家庭で増えていて、家庭用の燃料電池である「エネファーム」が代表的だ。政府は2030年までに全国で530万台のエネファームを普及させる目標を掲げていて、企業向けのコージェネと合わせるとエネルギーミックスの中でも一定の規模になる。

 資源エネルギー庁が従来のコージェネの導入ペースをもとに予測した結果では、2030年に発電能力で1250万kWに達する見通しだ(図1)。年間の発電量は700億kWhに拡大すると推定している。2030年の国内の総発電量を現在の水準(2013年度の実績で9397億kWh)よりも少ない9000億kWh程度と想定すると、コージェネによる電力だけで8%近くを占めることになる。

cogen1_sj.jpg 図1 コージェネレーションの導入量の見通し(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 今後は企業向けでも燃料電池を使ったコージェネが大きく伸びる見込みで、従来以上のペースで電力量が増える可能性は大きい。柏木教授によると、2030年に1540億kWhの電力量をコージェネで生み出すことができる。かりに総発電量が現在よりも多い1兆kWhに増えた場合でも、コージェネの比率は15%まで上昇すると予測している。

 そこで問題になるのは、コージェネによって電力量の15%を供給できる場合に、ほかの電源をどのように削減するかである。当面はコージェネの燃料の大半を天然ガスで作ることになるため、CO2排出量の点では火力を削減するのが妥当だ。第1に石油火力、第2に石炭火力が候補になる。

 コージェネは安定した電力量を供給できることから、「ベースロード電源」の削減に有効と考えられる(図2)。政府が定義するベースロード電源には原子力・石炭火力・水力・地熱の4種類がある。コージェネの拡大によって石炭火力を削減して、さらに原子力の比率を下げることも可能になる。

cogen2_sj.jpg 図2 コージェネレーションの導入による電力と熱の需要。出典:資源エネルギー庁

 政府が震災前の2010年に策定したエネルギーミックスにはコージェネは入っていない。電力会社を中心にした集中型の電源構成が基本だったからだが、もはやその前提は崩れている。これからコージェネと再生可能エネルギーによる分散型の電源の比率を高めることが重要な論点になる。エネルギーミックスの中でコージェネの比率をどの程度に設定するか、新たな注目ポイントになってきた。

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