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» 2015年04月17日 11時00分 UPDATE

電力供給サービス:電力の融通がないと停電の危険!?、予備率3%を切る関西と九州の夏

沖縄を除く9つの地域で夏の電力需給の見通しがまとまった。需要が最大になる8月には関西の予備率が0.8%まで下がり、九州ではマイナス2.3%と完全に電力が不足する状況になるため、他地域からの融通に頼る。残る7つの地域では予備率5%以上を確保できて、地域間の格差が非常に大きい。

[石田雅也,スマートジャパン]

 今夏の全国各地の電力需給に関して、驚くような予測が政府の委員会で発表された。8月の需要と供給力の見通しをもとに算出した予備率(需要に対する供給力の余裕)を見ると、九州ではマイナスになっている(図1)。供給力が需要をまかなえず、広範囲で停電が発生する可能性が大きい。関西でも予備率は0.8%まで低下する見通しで、安定供給のための最低ラインである3%を大幅に下回ってしまう。

jukyu2015summer4_sj.jpg 図1 2015年8月の需給見通し(画像をクリックすると拡大して9社の合計も表示)。出典:電力需給検証小委員会

 関西電力と九州電力は停電を回避するために、中部電力と中国電力から融通を受けて3%を維持する方針だ。ただし3%では発電所にトラブルが発生した場合に停電の危険性があり、追加の施策が不可欠である。東日本大震災が発生した2011年の夏のように、節電目標を設定して地域の企業や家庭に協力を求める必要がある。

 とはいえ2014年の夏も同じような予測を出したにもかかわらず、節電目標を設定することはなかった。実際のところ需要と供給力はどうだったか。関西では需要が最大になった日でも予備率は6.6%、九州では12.7%もあった(図2)。需要の見通しと実績のあいだに1割近い大きな開きが出ている。

jukyu2014summer_sj.jpg 図2 2014年夏の需給状況(画像をクリックすると拡大して見通しの数値も表示)。出典:電力需給検証小委員会

 さすがに今夏は関西・九州ともに需要の見通しを少し引き下げたものの、同時に供給力も低く設定したために、厳しい予測結果になった。需要の予測方法は従来と同じで、震災前の2010年夏の最大電力(3日平均)をもとに、気温・経済・節電の3つの影響を織り込んで算出する(図3)。万一に備えて需要を過大に見積もる手法である。

jukyu2015summer2_sj.jpg 図3 2015年夏の需要予測(単位:万kW。画像をクリックすると拡大して9社の合計も表示)。出典:電力需給検証小委員会

 関西電力を例にとると、2010年の最大電力の3日平均は3089万kW(キロワット)で、そこから定着節電を310万kWと見込んで差し引くなどして、2015年夏の予測を2791万kWと計算した。経済の影響による61万kWの減少の中には、新電力へ移行した45万kWも含んでいる。

 一方で供給力は低めに予測している。典型的な例が太陽光発電の供給力だ。関西では企業や家庭から買い取る太陽光発電の総出力は最大で338万kWある。このうち夏の供給力として約4分の1の82万kWしか想定していない(図4)。2014年の夏には54万kWの想定に対して最大電力が発生した日には89万kWの供給を受けていた。夏の最大電力が発生する日は晴天である場合が多く、太陽光発電の供給力も増えるケースが一般的だ。

jukyu2015summer3_sj.jpg 図4 2015年夏の太陽光による供給力の見通し(画像をクリックすると拡大して9社の合計も表示)。出典:電力需給検証小委員会

 九州でも2014年の夏は33万kWの想定に対して、実際には94万kWの供給力を太陽光発電から得ることができた。2015年の夏の予想は66万kWにとどめているが、対象になる太陽光発電の総出力は538万kWもある。

 こうして電力の需要が大きい夏には太陽光の供給力を低く見積もり、小さい時期には過大に評価して発電設備の接続を抑制する。自社の都合に合わせた予測は目に余るほどだが、それを容認している政府に責任がある。

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