ミカン畑を減反した跡地、20年以上かかってメガソーラーに再生自然エネルギー

1980〜90年代にオレンジの輸入自由化に伴って、全国でミカン畑の減反政策が実施された。神奈川県の南西部では減反した跡地を工業団地に開発する計画を進めたものの失敗に終わっていた。20年以上も放置されたままの跡地にメガソーラーが完成して、2900世帯分の電力の供給を開始する。

» 2015年04月27日 15時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 神奈川県の南西部に位置する中井町に、ミカン畑を減反した跡地が20万平方メートルの広さで残っていた。20年以上にわたって用途がなく放置されてきた場所だが、県内で3番目に大きいメガソーラーが完成して、本日4月27日に運転を開始する(図1)。

図1 「SGET中井メガソーラー発電所」の全景。出典:神奈川県住宅供給公社

 発電能力は9.8MW(メガワット)で、設置した太陽光パネルの枚数は約4万枚にのぼる(図2)。年間の発電量は1035万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)の2900世帯分に相当する。中井町の総世帯数(3400世帯)の8割以上をカバーできる規模になる。

図2 太陽光パネルの設置状況。遠くに富士山が見える。出典:スパークス・グループ

 メガソーラーの中央には展望施設の「太陽の公園」を整備した。一般に公開して環境教育にも利用する予定だ。さらに敷地に隣接した場所にトイレを造り、災害時の非常用電源として太陽光発電設備と蓄電池も設置した。

 このプロジェクトは震災後の2011年10月に開始した「かながわスマートエネルギー構想」の一環で、神奈川県が中心になって推進してきた。発電事業者のスパークス・グリーンエナジー&テクノロジー(SGET)が神奈川県から用地を借り受けて建設・運営する。発電した電力は固定価格買取制度を通じて全量を東京電力に売電する方針だ。

 県と地元の中井町、住宅供給公社、SGETの4者が基本協定を締結したうえで、地域経済の活性化と防災対策の強化、再生可能エネルギーの普及を図る。土地の所有者である住宅供給公社などが神奈川県に土地を貸与して、事業者のSGETが利用できる形をとった。SGETは事業資産にかかる固定資産税を20年間にわたって減免される。

 土地の造成費や発電設備の建設費を含めて総事業費は約40億円かかった。メガソーラーを建設する以前には樹木が生えている場所も多く残っていて、造成のために伐採した木は住宅供給公社の団地再生事業などに生かした(図3)。

図3 メガソーラーを建設する前の状態。出典:神奈川県産業労働局

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