エネルギーミックスの改善で温室効果ガスを削減、2030年までに26%法制度・規制(1/2 ページ)

政府が2015年内に世界各国と合意する温室効果ガスの削減目標が固まった。CO2を主体にした温室効果ガスの排出量を2030年までに2013年比で26%削減して、欧米の先進国と同等の貢献を果たしていく。電力をはじめエネルギーの生産・利用に伴って排出するCO2の削減が中心になる。

» 2015年05月04日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 世界各国が共同で取り組む温室効果ガスの削減に向けて、日本の目標値がようやく決まった。環境省と経済産業省の審議会が合同で策定した目標値は「2030年に2013年比で26.0%削減」である(図1)。

図1 温室効果ガス削減に向けた日米欧の目標値(米国は2005年比、EUは1990年比で目標値を提出)。出典:中央環境審議会・産業構造審議会

 この案をもとに内閣の地球温暖化対策推進本部(本部長:内閣総理大臣)が最終案を決定して、5月中に国連の「気候変動枠組条約事務局」に提出する予定だ。12月にパリで開催する「COP21(第21回国連気候変動枠組条約締結国会議)」で世界各国の合意形成を目指す。

 新たに設定する温室効果ガスの削減目標は、2020年以降に実施する対策をまとめた「約束草案」に盛り込む。日本の温室効果ガスの排出量は当初の基準年である1990年からほとんど削減できていないのが現状だ。特に東日本大震災が発生して以降は火力発電の増加で大幅に増えてしまった(図2)。

図2 日本の温室効果ガス排出量。出典:環境省

 温室効果ガスの9割以上は二酸化炭素(CO2)で、その大半はエネルギーを起源にして排出される(図3)。このうち電力の占める割合が4割以上で、温室効果ガス全体で見ても3分の1程度が電力によるものだ。発電に伴って排出するCO2の削減が目標値に大きな影響を与える。

図3 日本の温室効果ガス排出量の内訳。出典:環境省

 そこでCO2を大量に排出する火力発電を減らして、CO2を排出しない再生可能エネルギーと原子力を増やす必要がある。2030年に向けて火力・再エネ・原子力のエネルギーミックス(電源構成)を決めて、国全体の発電設備の再編を進めなくてはならない。

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