駐車場がメガソーラーに、国内最大級となる1.7MWのカーポート型太陽光発電が稼働太陽光

国光施設工業は、100%子会社の国光エナジーサービスを通じ、双葉電子工業が所有する長生工場(千葉県長生村)の従業員用駐車場に、日本最大級のカーポート型メガソーラー(最大出力約1.7MW)を設置し、発電事業を開始した。

» 2015年06月17日 07時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 新設したカーポート型のメガソーラーの敷地利用面積は約2.6ヘクタール(駐車台数約1200台)。ここに最大出力約1.7MW(メガワット)の設備を設置した。年間発電量は約170万kWh(一般家庭約470世帯分)を見込んでいる。発電した電力は、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)を利用して発電全量を電力会社に売電する。

 欧米ではMW級のカーポート型ソーラーはあるが、既存の駐車場を利用した1MWを超えるカーポート型メガソーラーの導入は、日本国内では例がなく「日本最大級の発電所となる」(国光施設工業)という(図1)。

photo 図1:カーポート型メガソーラーの設置された双葉電子工業 長生工場の駐車場 出典:国光施設工業

 発電事業者は国光施設工業の100%子会社となる国光エナジーサービスで、双葉電子工業から駐車場を太陽光発電事業の目的で20年間借り受けた。同メガソーラーは駐車場機能を損なわないため、システム設置後も双葉電子工業は従業員用の駐車場として利用を続ける。そのため、通常の野立て(グラウンド)の太陽光発電事業と比較し土地の有効活用となる。さらに、太陽電池モジュールが屋根代わりとなるため、夏の強い日差しを避け、車内温度の上昇を防ぐなどの効果もあり、事業収入以外の副次効果も期待できるとする。

 今後のメガソーラー事業は野立てを中心とした大規模なメガソーラーの適地が減り、またFITの買取価格低下、送電線の問題などもあり、電力需要地である首都圏の工場地帯や商業地帯で、駐車場の上空を有効活用したカーポート型メガソーラーの需要が増加すると見込まれる。また、2014年12月に発表された「東京都長期ビジョン」で再生可能エネルギーによる電力利用を20%増加させるための具体的な施策として、駐車場上部空間を有効活用するソーラーカーポートの普及促進が挙げられている。さらに、今後はFITに頼らず、蓄電池を備え近接の工場やビルへ直接電力供給することも想定される。

 こうした点から、同社はメガソーラー事業で協力関係のある環境経営戦略総研とともにカーポート型太陽光発電システムの導入を推進する方針だ。他の進行中案件と併せて現在5MWを予定。2015年度中には10MWの導入を目指す。

 国光施設工業は主力の空港や工場、病院、大型ビルなどの電気設備工事業に加えて、このところ公共・産業用向けメガソーラーの建設・運営・管理を行う、いわゆるEPC事業、O&M事業に注力している。今後も工場の従業員駐車場や大規模商業施設駐車場の有効活用策としてカーポート型メガソーラーを積極的に提案していく方針だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.