駐車場を発電所に変える、16.5kWの太陽光システムが発売自然エネルギー

日の光がさんさんと当たる駐車場の屋根は、太陽電池モジュールの設置場所として適している。発電のために別途土地を用意する必要もない。太陽光発電システムの大量普及に向く設置方法だ。イー・コモンズ・ジャパンが車を6台駐車可能なシステムを製品化した。

» 2013年09月11日 10時50分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 他の用途に使えない土地を太陽光発電で使う、他の用途を邪魔しないように太陽光発電を導入する。これが大量普及期に求められる設置手法だ。

 イー・コモンズ・ジャパンは駐車場一体型太陽光発電システム「ソーラパーキングステーション 16.5kW システム」を2013年9月に発表した。既に発売中である(図1)。

 同社はさら地に設置する野立て用途や、農業用の太陽光発電システムを開発、販売するメーカー。「(大量普及期を経た)ドイツの経緯を見て、出力50kW以上で高圧の系統連系が必要なシステムは次第に設置に適した土地がなくなってくると予想した。そこで、農業との組み合わせを考えてきた。駐車場向けシステムを開発したのも同じ発想だ」(イー・コモンズ・ジャパン)。

 同社の16.5kW システムはコンクリート基礎の上に設置する。幅21m、面積130m2の土地に設置し、6台の車を駐車できる(図1)。システム価格は500万円。固定価格買取制度(FIT)を利用し、駐車場賃料と組み合わせると6年弱で償却できるという。これは年間出力が1万6744kWh、1kWh当たり36円(税抜)、1台の車の契約料金を年間2000円*1)として計算した場合だ。

*1) 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公開する千葉県浦安市の発電量の予測値を用いた。郊外などに設置することを想定しているため、駐車料金を6台で年間14万4000円と低く見積もっている。

図1 ソーラパーキングステーション 16.5kW システムの外観。出典:イー・コモンズ・ジャパン

アルミ製専用架台を開発

 同社のシステムは車が2台設置できる基本単位の繰り返しからなっており、この基本単位で設置することもできる。この場合の設置幅は約6.5m、車4台の場合約13.3mで設置可能だ。標準システムをさらに連結して、駐車台数を増やし出力を高めることもできる。

 太陽電池モジュールの接地面の高さは、前方が約2m、後方が3m、モジュールの設置角度は10度である(図2)。「ミニバンのサイズまでの車を駐車できる」(同社)。

図2 横方向から見たシステムの寸法。単位はmm。出典:イー・コモンズ・ジャパン

 出力16.5kWのシステムが含む内容は以下の通り。出力250Wの多結晶Si(シリコン)太陽電池モジュール80枚(ハンファソーラーのSF220-30-1p240L)とオムロンの屋外用パワーコンディショナー3台(KP55W-J4)、モジュール間の接続ケーブルと電材、交流集電盤、カーポート専用アルミ架台だ。「太陽電池モジュールのメーカーを指定する顧客、例えばハウスメーカーの指定に併せた専用の駐車場向け架台を今後投入する」(同社)。

 保証制度もある。システムの10年保証とモジュール出力の25年保証は各メーカーの保証を利用する。この他、カーポート専用架台の10年保証が付く。自然災害補償制度もある。

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