ニュース
» 2015年06月30日 12時30分 UPDATE

自然エネルギー:太陽光で5日間の飛行を開始、ハワイに向けて1日目の夜を乗り切る

太陽光が作る電力だけで世界一周に挑む飛行機「ソーラーインパルス2」。天候悪化のために6月1日から名古屋空港で待機していたが、29日(月)の午前3時にハワイに向けて飛び立った。世界一周の航程で最長の5日間のフライトでは、太陽光で電力を作ることができない夜間の飛行が難関だ。

[石田雅也,スマートジャパン]

 日が昇る前の6月29日(月)午前3時3分に、「ソーラーインパルス(Solar Impulse 2)」(略称:Si2)が名古屋空港を離陸して、米国ハワイに向けて5日間のフライトを開始した(図1)。ハワイまでの飛行距離は6960キロメートルで、機体の上部に搭載した太陽光パネルの電力だけで飛び続ける計画だ。

solarimpulse2_1sj.jpg 図1 離陸した直後の「Solar Impulse 2」。出典:Solar Impulse

 最大の難関は太陽光で電力を作れない夜間の飛行である。日中に蓄電池に貯めた電力を使って、Si2の翼の下に搭載した4基のモーターを駆動しなくてはならない。電力の消費量を抑えるために、昼間は高度8500メートルで飛んでいる状態から夜間には1500メートルまで高度を下げる。

 1日目の夜は蓄電池に貯めた電力で乗り切ることができて、2日目も順調に飛行を続けている。Si2には合計1万7248枚の太陽光パネルが搭載されていて、最大で66kW(キロワット)の電力を作ることが可能だ。日中に余った電力を蓄電池に貯めながら夜間に飛行する(図2)。

solarimpulse2_4sj.jpg 図2 「Solar Impulse 2」の発電・蓄電状態。出典:Solar Impulse

 蓄電池の容量は164kWh(キロワット時)ある。Si2は夜間でも15kW程度の電力を必要とする。蓄電池がフルに充電された状態であれば、太陽光による電力の供給がなくても10時間程度は飛び続けることができる。ただし日中に十分な量の電力を充電できないと、夜間の飛行が難しくなってしまう。

 本来は5月31日に中国の南京市から米国ハワイ州のホノルルまでノンストップで飛ぶ計画だった。ところが6月1日に悪天候のために電力が不足する状況になり、名古屋空港へ着陸して天候の状態を見極めていた(図3)。およそ1カ月間に及ぶ待機の後に、ようやく飛行士のアンドレ・ボルシュバーグ(Andre Borschberg)氏がSi2に乗り込んで名古屋空港から飛び立つことができた。

solarimpulse2_2sj.jpg 図3 名古屋空港で離陸準備中の「Solar Impulse 2」。出典:Solar Impulse

 飛行計画では2日目に北緯40度の太平洋上を通過してから南下して、5日目の深夜にホノルル空港に着陸する(図4)。後戻りのできない120時間の連続飛行になる。ホノルルから先は米国本土を経由して、出発地のアブダビへ戻る予定だ。名古屋からホノルルが最長のフライトになるため、この距離を乗り切ることができれば世界一周の可能性が近づく。

solarimpulse2_3sj.jpg 図4 名古屋からホノルルまでの飛行計画。出典:Solar Impulse

*電子ブックレット「ソーラーインパルスの太平洋横断」をダウンロード

テーマ別記事一覧

 太陽光   蓄電・発電機器 


Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.