約170万kWhの省エネ効果、アルミ廃棄物から水素を生む「発電」装置が実用化へ蓄電・発電機器(1/2 ページ)

リサイクルが困難とされていたアルミ系廃棄物から水素を生成し、さらに発電も行えるシステムの実用化に向けたNEDOプロジェクトが推進中だ。同システムを開発したアルミハイテックが、朝日印刷の工場で実証に取り組む。廃棄物のリサイクルだけでなく、大きな省エネ効果も期待される技術だ。

» 2015年07月14日 15時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)で水素エネルギー利用の新たな可能性を探る画期的なプロジェクトが進行中だ。資源リサイクル事業を展開するアルハイテック(富山県高岡市)は朝日印刷の協力を得て、リサイクルが困難とされているアルミ系廃棄物から水素を取り出し、発電に利用するシステムの有効性検証に着手する(図1)。

図1 アルミ廃棄物を利用する水素生成および発電システムの概要 出典:NEDO

 アルハイテックはアルミ系廃棄物からアルミを分離し、さらにこのアルミから水素を発生させて発電に利用するシステムを独自に開発した。こうした廃棄物が発生する工場などで利用すれば、廃棄物の再利用だけでなく電力も賄えるというメリットを持つシステムだ。同社は同システムの産業界における具体的な有効性の検証を行うため、2014年12月からNEDOの「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」で、システムの中核を担う乾留炉と水素発生装置の開発・検証に取り組んできた。

 このほどシステムの実用化へのめどが立ったことから、朝日印刷が提供する工場敷地(富山市)に規模を拡大した装置を新たに設置する。工場から出る紙・アルミ・プラスチックの複合材製品の端材を原料に、実際に稼働している工場でのシステムの有用性を検証する。装置は2015年内の完成を目指し、翌年から運用に入る計画だ。

 今回の実証では原料供給源に隣接した施設で処理を行うため、原料搬送を行う必要がない。さらに実証するシステムの余剰熱を工場で利用することで大きな省エネ効果が期待される。同システムでアルミ系廃棄物900トンを処理した場合、原油換算で約450kl(キロリットル)、電力量換算で約170万kWhの省エネが可能になるという。こうした省エネ効果によるCO2排出削減量は、一般家庭2680軒分の月間排出量となる年間約1200トンとなる見込みだ。

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