高速道路の南斜面に2000枚の太陽光パネル、150世帯分の電力を供給開始自然エネルギー

兵庫県内を走る高速道路の南向きの斜面を利用して、合計2000枚の太陽光パネルによる発電事業が7月13日に始まった。地元の園芸土木会社が再生可能エネルギーの普及を図る目的で実施した。年間の発電量は一般家庭の150世帯分に相当する。

» 2015年07月16日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 中国地方の山間部を東西に貫く形で、大阪府から山口県まで500キロメートル以上の距離を「中国自動車道」が通っている。その一部の区間の道路脇の斜面に、1キロメートル以上にわたって太陽光パネルを設置した(図1)。東西に走る道路の片側の斜面は南を向いているため、太陽光発電に適している。

図1 「中国自動車道」の道路脇の斜面に設置した太陽光パネル。出典:森口園芸土木

 設置した場所は兵庫県の南西部に位置する福崎町(ふくさきちょう)を走る区間で、道路と田んぼのあいだにある法面(のりめん)を利用した。敷地の面積を合計すると5800平方メートルに及ぶ。太陽光パネルの設置枚数は約2000枚にのぼり、法面の幅によって1列あたり3〜8枚のパネルを並べた(図2)。

図2 道路に沿って南向きに設置した太陽光パネル。出典:森口園芸土木

 全体の発電能力は0.5MW(メガワット)になる。年間の発電量は55万kWh(キロワット時)を見込んでいて、一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して150世帯分に相当する。福崎町の総世帯数(7400世帯)の約2%をカバーすることができる。

 この発電設備を建設・運営する事業者は、兵庫県で森林の整備や道路の舗装を手がける森口園芸土木だ。2013年から太陽光発電事業に参入して、現在までに県内の4カ所で発電所を運営している。中国自動車道のプロジェクトは5カ所目になる。

 兵庫県内では太陽光パネルを設置しにくい場所にも発電設備が広がってきた。県が率先して、ため池の水面やダムの斜面でも太陽光発電を拡大中だ。兵庫県の企業庁が加古川市にある「権現(ごんげん)第1ダム」の斜面を利用したケースでは、南向きの斜面に6900枚の太陽光パネルを設置した(図3)。

図3 南向きの斜面に太陽光パネルを設置した「権現第1ダム」。出典:兵庫県企業庁

 高速道路の法面を利用した発電事業では、NEXCO東日本が千葉県内で実施した例がある。このほかに自治体でも道路脇に太陽光パネルを設置する計画を進めていて、今後は全国各地で導入例が増えていく見通しだ。


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