太陽光発電、“FIT押し”から「O&M」へPVJapan2015(1/3 ページ)

2015年7月29〜31日の3日間、東京ビッグサイトで開催された太陽光発電関連の展示会「PVJapan2015」では、太陽光発電の監視・保守ソリューションサービスが注目を浴びた。各社の出展内容を紹介する。

» 2015年08月05日 09時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 国内の太陽光発電市場は固定買取制度(FIT)により急速に成長した。ただし買取価格の低下により、今後は新規施設の拡大だけでなく、既存施設でより効率的な発電を保持することが求められるようになってきた。そこで注目を集めているのが、発電量の低下や機器の異常を知らせたりする「O&M(運用・保守)」関連のソリューションサービスだ。

 太陽光発電システムはさまざまな環境的な要因から障害が発生する可能性がある。また、運用年数が経過するとともに発電性能が低下する事例も見られる。そのため太陽光発電事業に取って早期の障害の発見は発電量の減少を防ぐための大きな役割をもつ。2015年7月29〜31日の3日間、東京ビッグサイトで開催された太陽光発電関連の展示会「PVJapan2015」では、機器故障や発電トラブルを監視し、安定稼働をサポートする遠隔監視・保守ソリューションサービスに注目が集まった。

「エコめがね」をアピールしたオムロンとNTTスマイルエナジー

 オムロンはブース内でNTTスマイルエナジーの「エコめがね」を訴求し、同社の遠隔監視・保守体制をアピールした。NTT西日本とオムロンの共同出資会社、NTTスマイルエナジーの太陽光発電遠隔モニタリングサービス「エコめがね」は、システム専用のモニター端末を用いず、その代わりにクラウドサーバを利用することでスマートフォン、タブレット端末、PCなどで分かりやすく確認できる。「見える化」だけでなく、日射量情報などから発電量が適切かを見守る発電診断サービスなども提供している。

 また、10月に発売予定の太陽光発電システムの発電状況や消費状況が把握できる「住宅向け太陽光発電システム用エナジーインテリジェントゲートウェイ(EIG)」の機能アップシリーズを紹介した。EIGは住宅内の発電量や消費電力量などをタッチパネルで簡単に確認できる他、同社のパワーコンディショナーと併設することで省令改正における出力制御にも対応している。今回の機能アップシリーズでは住宅向け、低圧市場向けにさらに価値を高めている。

 住宅向けには発電情報やパワコンの情報などをHEMSの共通プロトコル「ECHONET-Lite」により、HEMSコントローラー側に直接データを送信する機能を追加した。これにより、省令改正に伴う出力制御対応とエネルギーマネジメントシステムを兼ね備えた効率的なトータルシステムの提供を可能にしている。産業向けEIGでは太陽光の発電情報に加えてエラー履歴などパワコン1台ごとの状態情報をEIGからネットワークを経由し、遠隔監視システムへ送信する機能を搭載した。機能追加により低圧での出力制御対応と遠隔監視サービスの両立を実現し、太陽光発電システムの安定稼働をサポートする(図1)。

photo 図1 遠隔監視による太陽光発電の効率的運用をアピールしたオムロンブース
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