能代港と秋田港は年間の平均風速が毎秒6.5〜7メートル以上になり、風力発電に適した場所であることがわかっている。洋上風力発電の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は標準で30%程度になり、170MWの発電設備の場合には年間の発電量が4億4000万kWh(キロワット時)を見込める。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して12万4000世帯分に相当する。
発電設備の設置方法は海底に固定する着床式で、基礎構造はモノパイル式とジャケット式の2種類を検討中だ(図4)。モノパイル式は水深が30メートル以内の砂質の海底に適している一方、ジャケット式は50メートル程度の水深まで対応できて泥質や岩質の海底にも設置することができる。
能代港の対象区域の水深は最大で20メートル程度、秋田港でも30メートル程度であることから、海底が砂質であればコストが低いモノパイル式を採用する可能性が大きい。ただしコストを除けば、施工や撤去の容易さや環境影響の点では2つの方式で一長一短がある。
今後は漁業や動植物に対する影響、風車の回転に伴う騒音などを詳細に評価しながら建設に向けた手続きを進めていく。環境影響評価は5段階の手続きが必要で、完了までに3年程度を要する(図5)。順調に手続きが進めば2018年に工事を開始して、2021〜2022年に運転を開始することが可能だ。計画どおりに170MWの規模で稼働すると、その時点で2カ所を合わせて日本最大の洋上風力発電所になる。
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