太陽光発電所の再生事業を開始、発電量を保証するサービスも太陽光

太陽光発電所のメンテナンス事業などを展開するCO2Oは、計画した発電量の確保に問題を抱えている産業用太陽光発電所オーナーを対象に、計画発電量を保証する国内初のサービスを開始する。

» 2015年08月31日 09時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 CO2Oは2012年設立の太陽光発電関連ベンチャーだ。太陽光発電所の資産価値向上を目的に現地調査に基づいたO&Mサービスや高付加価値化を提案するコンサルティング業務などの運用サポートを提供してきた。その中で、ここ数年太陽光バブル期に建設された太陽光発電所で設計・施工保守・運用体制の不備などの理由から、当初計画していた発電量が確保できないという問題が多数発生していることに気付き、課題を感じていたという。

photo 図1 CO2Oが示す太陽光発電所の不具合の例 出典:CO2O

 「発電量低下を引き起こす不具合の95%以上は設計・施工に起因している。工事経験の乏しい施工者により適切な工事が行われていなかったり、安さを重視した部材を選定したことで信頼性の検証が不十分だったりするケースが多い」と同社社長の酒井正行氏は述べる。

出力の下がるリスクと再生への費用のバランス

 CO2Oが新たに提案する再生プランは、こうした不備が見つけられた太陽光発電所に対して、設計図や各種施工履歴の確認、現地調査の実施、実日射強度から気温などの要素から想定発電量を算出。改善に必要な費用と期待できる発電収益を明らかにしたうえで、運用効率を最大化するプランを提案するというものだ。

 一方、発電量保証プランはこの再生事業と併せて、O&Mサービスを提供する太陽光発電所に対して、同社による改善提案を実施したうえで行うもの。これにより、CO2Oは提示した計画発電量を達成できなかった場合、発電量不足により生じた売電収益の損失を年間O&M費用を上限として補填(ほてん)する。具体的な条件(想定発電量の80〜85%を下回った場合に保証するなど)については顧客との事前協議によって取り決める。

 さらに保険会社との協力による保証内容の拡充も2015年10月頃をめどに導入する予定だ。また、この再生事業をより強化するため、技術者を増員する。酒井氏は「現在15人いる技術者を数年後には60人体制とする。さらに、協力業者のネットワークを拡大することを検討している」と積極的な姿勢を見せている。

photo 図2 CO2Oが示す発電所再生と発電所保証の仕組みとフロー(クリックで拡大)出典:CO2O

発電所全体の資産価値を向上させる取り組み

 CO20は、創業当時から、世界最大手の太陽光発電モジュールメーカーのアフターサポートを行ってきた。さまざまな不具合を現場スタッフが現地調査を重視した調査診断を行うなどのノウハウを蓄積し、2014年からそれらをベースに本格的にメンテナンス事業をスタートした。発電所のリスクとバリューのバランスや費用対効果を考慮した改善プランを提案する他、運用方法についてもアドバイスしている。最近では施設評価のセカンドオピニオンに加え、不具合原因の特定が困難な案件について同業者から調査を依頼されるケースも急増しているという。

photo CO2O社長の酒井正行氏

 酒井氏は「不具合発生時の駆け付けサービス(事後保全)や計画に沿った部品交換(予防保全)など、契約仕様書に定められた定型業務だけでなく、専門家の視点から発電所を診断し、顧客の立場から発電所自体の資産価値を向上させるための維持管理および改善提案を実施している」と発電所の維持管理についての考え方を説明。具体的には設計から施工、竣工検査や精密診断、不具合の早期発見や再発防止のための対策、雑草コントロールやモジュール盤面の清掃、営繕、さらに施設評価に至る太陽光発電所のライフサイクルを通じた全てのサービスをワンストップで提供している。

 現在までにO&Mを手掛ける発電所が約70MW、評価診断業務が約60MW、メーカーサポート1社の実績がある。さらに、現在、特別高圧案件(累計150MW程度)のO&M受託に向けた協議を進めており、2015年度中のサービス開始を予定している。2015年1月の売上高は3億円。来期は20億円を超える売り上げを見込む。

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