ゴルフ場の跡地にメガソーラーを建設するメリットは、土地を造成する手間が少なくて済むことだ。もともと山林を造成して日当たりの良い地形にしてからゴルフ場を開業するケースが多く、太陽光パネルを設置する場所として適している。
健康食品メーカーのサニーソーラーが福島県の須賀川市で2015年3月に運転を開始した「サニーソーラー福島中央発電所」は好例だ(図4)。2年前まで営業を続けていた「福島空港ゴルフクラブ」の跡地に建設したメガソーラーで、76万平方メートルに及ぶ用地には100メートルの標高差がある。
この複雑な地形と起伏に合わせて、合計で10万5000枚の太陽光パネルを配置した。18ホールで構成するゴルフコースと同じ形でメガソーラーが広がっている。造成工事を最小限に抑えて建設費を削減できるうえに、工事を少なくすることで周辺地域の環境保全にも配慮した。
三菱グループと戸田建設が2015年4月に運転を開始した「長崎田手原メガソーラー発電所」の場合には、ゴルフ場の地形に従って太陽光パネルを最適に配置するために3次元の設計技術を応用した。レーザースキャナで土地の形状を計測して、太陽光パネルに日陰が生じないように架台の高さや間隔を調整している(図5)。最新の建設技術で合計5万枚の太陽光パネルを設置した。
太陽光パネルの設置方法だけではなくて、発電した電力を変換するパワーコンディショナー(パワコン)の配置にも工夫が必要になる。不動産会社のタカラレーベンが栃木県の那須高原にあるゴルフ場の跡地に建設中のメガソーラーでは、750台にのぼる小型のパワコンを採用した。
ゴルフ場は18カ所に分かれるコースで構成するために、太陽光パネルを設置する場所も分散する(図6)。通常のメガソーラーでは1台の出力が500kW(キロワット)を超えるような大型のパワコンを使って数千枚の太陽光パネルから電力を集めるが、パネルの設置場所が分散するゴルフ場の跡地ではむずかしい。そこで出力が20kWの小型のパワコンを使って、1台あたり160枚程度の太陽光パネルから発電した電力を集約する。
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