両面電極で世界最高、変換効率25.1%のシリコン太陽電池自然エネルギー

カネカは両面電極型ヘテロ接合結晶シリコン太陽電池として、「世界最高」(同社)となるセル変換効率25.1%を実用サイズに相当する5インチのセルサイズで達成した。パナソニック、シャープの成果に続き“25%台”を突破するシリコン太陽電池セルの開発競争が加速している。

» 2015年10月27日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 シリコン太陽電池の性能向上に向けた開発競争が加速している。カネカは2015年10月23日、両面電極型ヘテロ接合結晶シリコン太陽電池のセル変換効率25.1%を達成したと発表した。実用サイズに相当する5インチのセルサイズ(152平方センチメートル)での達成となる(図1)。

図1 開発したヘテロ接合結晶シリコン太陽電池(クリックで拡大) 出典:NEDO

 今回の成果はカネカが新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「太陽光発電システム次世代高性能技術の開発」プロジェクトの成果をもとに開発したもの。カネカは既に同プロジェクトにおいて、より大型の6インチのセルサイズ(239平方センチメートル)でもセル変換効率24.5%を達成している。

 これらの成果にはカネカの高品質アモルファスシリコンを用いた結晶シリコン基板の表面欠陥低減技術や、銅メッキ法による電極形成技術などを活用しているという(図2)。

図2 開発した結晶シリコン太陽電池の構造図(クリックで拡大) 出典:NEDO

カネカのポイントは“両面”、変換効率は世界最高へ

 従来は“壁”といわれてきた変換効率25%を突破するシリコン太陽電池が続々と登場しはじめている。シリコン太陽電池のセル変換効率では、パナソニックが2014年4月に世界記録である25.6%を達成(関連記事)。シャープも25.1%を達成しており、カネカの今回の成果はこれに続くものとなる。

 しかしカネカが今回開発したシリコン太陽電池セルは、パナソニックやシャープのものとは異なる点がある。それはセルの表側にも電極を残す両面電極型であることだ。パナソニックやシャープの場合は、セルの裏側だけに電極を形成している。カネカによれば今回開発した変換効率25.1%は、両面電極型を採用するヘテロ接合結晶シリコン太陽電池セルにおいて世界最高の変換効率になるとしている。

 NEDOによれば現在利用されている太陽電池の約8割は結晶シリコン太陽電池であり、さらに電極構造は両面電極型が主流だ。そのため今回のカネカの成果は高効率結晶シリコン太陽電池の実用化に大きく寄与するとしている。さらにカネカは今回の開発成果を一部活用してパイロット生産設備を構築するともに、銅メッキ法を利用した銅電極ヘテロ接合結晶シリコン太陽電池を2015年度中に販売する計画だ。

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