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» 2015年11月24日 15時00分 UPDATE

自然エネルギー:家庭用燃料電池で31%の省エネ、大阪ガスの実験集合住宅

 大阪ガスは2013年6月から開始した実験集合住宅「NEXT21」の第4フェーズ居住実験の中間結果を取りまとめた。逆潮流を想定した条件で家庭用固体酸化物形燃料電池コージェネレーションシステム(SOFC)を最大活用することにより31%の省エネ性を実現するなど成果が現れている。

[長町基,スマートジャパン]
photo 図1 大阪ガスの「NEXT21」の外観 出典:大阪ガス

 「NEXT21」は、近未来の都市型集合住宅の在り方を提案することを目的として、大阪ガスが1993年10月に建設した実験集合住宅である。完成以来、時代を見通したテーマを設定し、合計3回15年間にかけて居住実験に取り組んできた。現在実施している第4フェーズ居住実験では「環境にやさしい心豊かな暮らし」をテーマに、2020年頃までの集合住宅における「エネルギーシステム」および「住まい・住まい方」の2分野の実証実験を進めている(図1)。

 このうち「エネルギーシステム」の実験では燃料電池やガスエンジンタイプのガスコ―ジェネレーションシステムを集合住宅で高効率に活用するなど省エネやCO2削減のさらなる追求とエネルギー自立、節電や系統電力負荷軽減などを両立するスマートなシステム・技術を実証した。

 SOFCの住戸分散設置とエネルギー融通の実験では、SOFCをフロア内で可能な限り定格運転(700W)し、発電余剰電力を融通または蓄電池(容量=5.5kWh)で充電利用したところ発電量が約1.6倍に増加し、購買電力を約91%削減した。また、SOFCの冬季の排熱不足を補うため太陽熱利用と組み合わせて熱融通することで従来と比較して20%削減し、融通がない場合での比較では約4ポイント向上している。さらに発電ユニット内に貯湯タンクを内蔵した小型の次世代型高効率SOFCプロトタイプ機を試運転したところ発電効率50%超(LHV)を達成した。

 デマンドレスポンス対応と逆潮運転の実験では、デマンドレスポンス要請時の節電行動に加え、SOFC発電量を増加させる運転で、発電量アップにより、系統電力削減効果が1.1〜3倍に増加する効果が確認できた。続いて、逆潮流を想定した条件でSOFCを24時間定格運転(700W)したところ、高効率な発電電力の最大活用で一次エネルギー消費量は従来比31%減、CO2排出量は51%削減した。この削減効果は逆潮流を想定しない場合よりも倍増している。

 停電時自立システムの構築では、停電時にCGSの自立運転でほぼ支障のない生活を確保でき,さらにSOFCの稼働により居住者が使用できる電力量が増加することで許容度が向上する結果が出ている(図2)。

photo 図2 エネルギーシステムの概要図と実験課題 出典:大阪ガス

 一方「住まい・住まい方」では、今後の多様なライフスタイルに対応する住まい・住まい方の検証・提案を目的に、住戸と共用部、住棟と地域の間に人と人の新しいつながりを創出し、外部の豊かさを享受できる中間領域 (私的空間である住戸と共用部の間)を設けるなどの実証実験を行った。中間領域を設けることで私的空間としてだけではなく交流の場としても使用され、人とのつながりの創出と居心地のよさが実証できたとしている。

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