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» 2015年12月04日 09時00分 UPDATE

蓄電・発電機器:悩ましい石炭火力のCO2排出量を半分に、木質バイオマスの混焼技術が躍進

IHIは、新日鐵住金の釜石製鐵所内にある石炭火力発電所で、木質ペレット燃料を熱量比率25%・重量比33%で石炭と混焼することに成功。石炭火力の大幅なCO2削減が見込める技術として2017年の実用化を目指す。

[陰山遼将,スマートジャパン]

 燃料費が安価で発電コストを抑えやすい石炭火力の大きな課題は、他の火力発電と比較して発電量当たりのCO2排出量が多いことだ。この課題については現在パリで開かれているCOP21に合わせて英国が“石炭火力ゼロ”の方針を発表したこともあり、国際的に議論の的となっている。日本では先日、環境省が山口県で進む石炭火力の新設計画に「是認しがたい」と意見。しかし政府内での石炭火力に対する方針は定まっていない状況だ。

※関連記事:環境省が「是認しがたい」石炭火力発電所、石炭中継基地の隣に建設へ

 石炭火力のCO2排出量を抑える方法の1つとして、石炭と木質バイオマスを混焼する手段がある。木質バイオマスを焼却すると実際にはCO2が発生する。これを植物が光合成により成長過程で吸収したCO2で相殺して、CO2排出量をゼロと見なす「カーボンニュートラル」の考え方を適用する方法だ。

 この混焼技術の開発を進めている1社がIHIだ。同社は環境省の委託事業として、新日鐵住金が所有する釜石製鐵所内エネルギー工場内(岩手県釜石市)で技術実証を進めている。このほど同工場内にある出力149MW(メガワット)の石炭焚火力発電所において、純国産の木質ペレット燃料を熱量比率25%、重量比33%で石炭と混焼しながら発電設備の安定運転を行うことに成功した(図1)。

rk1_151203_baio01.jpg 図1 混焼を行った実証設備 出典:IHI

 日本国内で石炭と木質バイオマスなどを混焼する発電設備も増えているが、その混焼率はまだ1〜3%程度であることが多い。IHIが今回実証した技術は既存の発電設備に小規模な改造を加えるもので、現状数%程度の混焼率を大幅に引き上げられるとともに、技術的には混焼率を50%以上にすることも可能だという。

 混焼率50%となれば、単純計算でCO2排出原単位を半減できる。木質バイオマスを用意するコストが掛かるが、国内で稼働している多くの石炭火力に適用できれば大きなCO2排出量の削減効果を見込める。IHIでは今回の成果をもとに、高い比率での混焼が可能な実機の設計を進め、2017年度の商用運転開始を目指すとしている。

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