瀬戸内海の島で太陽光発電、工場や家庭の廃棄物はバイオマスにエネルギー列島2015年版(34)広島(1/3 ページ)

広島県で太陽光発電が急速に広がってきた。県内最大のメガソーラーが瀬戸内海の離島で運転を開始したのに続き、テーマパークやゴルフ場の跡地でも建設計画が始まっている。太陽光発電に加えて、木材や生ごみを利用したバイオマス発電、さらにはダムの直下で小水力発電も動き出す。

» 2015年12月08日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 瀬戸内海のほぼ真ん中あたりに、広島県に属する「大崎上島(おおさきかみじま)」がある。周囲が60キロメートルある大きな島に、県内で最大のメガソーラーが1月1日に運転を開始した。島の西側に広がる20万平方メートルの干拓地を利用したもので、合計5万6000枚にのぼる太陽光パネルを敷き詰めた(図1)。

図1 「大崎上島メガソーラー発電所」の全景(上)と近景(下)。出典:中国精螺

 発電能力は10MW(メガワット)に達して、年間の発電量は1570万kWhを見込んでいる。一般家庭の電力使用量(年間3600kWh)に換算すると4350世帯分になり、大崎上島町の総世帯数(4300世帯)に匹敵する電力を供給することができる。これまで火力発電に依存してきた離島で再生可能エネルギーによる電力が一気に拡大した。

 本土の山間部でも広大な用地を利用したメガソーラーの建設計画が進んでいる。中国山地の山々に囲まれた安芸高田市(あきたかたし)には、1990年に開園したテーマパークの「広島ニュージーランド村」の跡地がある(図2)。

図2 メガソーラーを建設する「広島ニュージーランド村」の跡地。出典:ウエストホールディングス

 2008年に閉鎖して以降、長らく用途が決まらなかったが、地元のウエストグループがメガソーラーを建設することになった。13万平方メートルの用地に3万3000枚の太陽光パネルを設置する。発電能力は8MWで、2015年内に運転を開始できる見通しだ。年間の発電量は2300世帯分を想定している。

 さらに大規模なメガソーラーの建設プロジェクトもゴルフ場の跡地で始まった。岡山県との県境にある高梁市(たかはしし)で2015年1月まで営業を続けていたゴルフ場がある。48万平方メートルにのぼる跡地に、発電能力が25MWを超えるメガソーラーを建設する計画だ。運転開始は2017年3月の予定で、年間に9300世帯分の電力を供給する。

 広島県では県有地や市有地を利用した太陽光発電事業を2013年から開始して、県みずから再生可能エネルギーの導入を率先してきた。これまでに6カ所で合計10.4MWの太陽光発電所を稼働させている(図3)。広島県と中国電力グループが共同で事業組合を設立して、「地域還元型再生可能エネルギー導入事業」として実施するプロジェクトだ。売電で得た収益は地域に還元して振興策などに生かす。

図3 「地域還元型再生可能エネルギー導入事業」で稼働中の太陽光発電所。出典:広島県環境県民局
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